プラントベース食品に使われる食品添加物|選ぶ際のポイントを解説
プラントベース食品は、健康志向や地球環境に関心のある方から注目されています。動物性食品の代わりとして使用されますが、その多くは加工食品であるため食品添加物が使われている場合があります。そこで今回は、プラントベースで良く使われている食品添加物や選ぶ際のポイントについて解説します。
食品添加物とは
食品添加物は、食品の製造過程で食品の味や香りや色などを良くしたり、保存性を高めたりするために加えられる物質のことです。さまざまな種類があり、天然由来のものから合成のものまであります。
とはいえ、食品添加物は現代だけでなく、昔から人々の食生活に深く関わってきた身近なものです。例えば、豆腐を固めるために使用される塩化マグネシウム(にがり)や、こんにゃくの弾力を出すために必要不可欠な水酸化カルシウム(消石灰)などがあげられます。
プラントベース食品に使われる主な食品添加物の種類

大豆ミートをはじめプラントベース食品では、加工する過程で添加物が含まれていることがあります。ここでは、使用頻度が高い食品添加物について紹介します。
メチルセルロース
主に、増粘剤として使用される添加物です。大豆ミートなどの食感を良くするために使われる場合があります。1960年に食品添加物として認可され、さまざまな食品に使われています。
トレハロース
トレハロースは、たんぱく質の変性抑制や安定性、保湿性を保持するために使用されます。じゃがいもやとうもろこしなどのデンプン由来の添加物であり、人工甘味料ではありません。
加工デンプン
加工デンプンを使用すると、食感や保存性の向上、離水防止につながります。トレハロースと同様に、じゃがいもやとうもろこしなどから抽出された天然デンプンを使用しているのが特徴です。
また、日本では10種類以上の食品添加物が認められており、酸化でんぷんやリン酸化でんぷんなどがあります。なかには、欧米諸国で幼児食品への使用を禁止しているところもあるため、影響を受けやすい方は控えたほうが良いかもしれません。
pH調整剤
pH調整剤とは、食品の酸度を適性に保つために使用されるものです。食品のpHのバランスを調整することで変質や変色を防いだり、保存性を高めたりするなど、食品の品質を保持する役割があります。
食品添加物の安全性

食品安全委員会にて食品添加物の1日摂取許容量(ADI)は、決められています。また、食品添加物の安全性を評価し審議された上で、食事から摂取される量がADIを下回るように、使用基準などを定めています。良く使用される食品添加物のソルビン酸を例に計算した結果は、下記の通りです。
【体重60kgの場合】
1日のADIの上限:25mg/kg×60kg=1,500mg
つまり、60kgの方が1日に1,500mgまでソルビン酸を摂取しても健康上の問題はないと考えられています。実際の摂取量はADIの1%ほどとされているため、15mgほどです。
例えば、チーズに対するソルビン酸の使用量は最大で3.0g/kgなので、1日のADIの上限に達するには500g必要です。チーズ1切れが20gだとすると、250切れ分になります。この量のチーズを毎日食べ続けない限り、ADIを超えることはありません。
ただし、食品添加物は一般的に安全性が確認された上で使用されていますが、人によってはアレルギー反応を起こすおそれがあるため注意が必要です。また、過剰摂取は健康に悪影響を与える場合もあるため、摂り過ぎないように食品表示をしっかりと確認しましょう。
※ADIとは、人が毎日摂取し続けても、健康への悪影響がないといわれる1日あたりの食品添加物の摂取量のこと
食品添加物が気になるときのプラントベース食品の選び方

食品添加物が苦手な方から体に合わない方まで、さまざまな理由で選ぶのを躊躇する方もいます。そんな方におすすめのプラントベース食品を選ぶときのコツを紹介します。
原材料表示を確認する
食品添加物が気になる場合は、商品のパッケージに表示されている原材料名を必ず確認しましょう。アレルギーがある方も事前に確認しておくことをおすすめします。
食品添加物を調べるときは、商品のパッケージに記載されている「添加物欄」または「原材料名欄」を見れば判断できます。原材料名に食品添加物を表示する場合は、スラッシュ「/」で区切る、改行するなどにより区分されているので参考にしてみてください。
これらの食品添加物の並び順ですが、含有量が多いものから表示されるのがポイントです。また、下記のような場合は国で食べても直接的な害が少ないと判断されたものであり、表示する必要はないとされています。
- 加工助剤:製造過程で次亜塩素酸水を使用した場合、最終的に洗い流されて食品添加物が残っていない場合
- キャリーオーバー:保存料が使用されている醤油でせんべいを味付けしたが、少量であり保存料としての効果がない場合
- 栄養強化の目的で使用されるもの:製造過程で減ってしまう栄養素を補うために添加する場合
できるだけシンプルなものを選ぶ
食品添加物をなるべく摂りたくない方は、加工度が低いものや原材料が少ないシンプルなものを選ぶことをおすすめします。例えば、冷凍食品のコロッケと自分で作るコロッケでは、添加物の量も異なります。
食品添加物の少ない乾燥タイプの大豆ミートであれば、調理の手間や時間がかかるものの食品添加物の摂取を抑えられます。なかには下ごしらえせずに使用できるものもあるので、プラントベース食品のパッケージに記載されている原材料を見ながら、自分に合った商品を選んでみるのもひとつの方法です。
まとめ
食品添加物は、食品の品質保持や食味の向上などの目的で使用されます。プラントベース食品に主に含まれている食品添加物には、「メチルセルロース」「トレハロース」「加工デンプン」「pH調整剤」などがあります。食品添加物の1日摂取許容量が決められているため、過剰に摂らなければ問題ありません。とはいえ、食品添加物が気になる方は、原材料表示を確認したり、なるべくシンプルなものを選んだりするなど参考にしてみてくださいね。