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2024.12.09

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【管理栄養士が解説】プラントベースホールフードとは?身体・環境に優しいメリットと活用法

野菜のヘタや皮などを取り除く際、必要以上に皮を厚く剥いたり、ヘタを含めて食べられる部分までカットしてしまったりする方はいませんか?
実は、このちょっとした行動が、ゴミの量を増やす原因につながり、環境に悪影響をおよぼすおそれがあるのです。

そこでおすすめなのが、食材を丸ごと食べるプラントベースホールフードです。今回は、管理栄養士の下田さんに食品ロスを削減するためのヒントをご紹介いただきます。
管理栄養士の下田さんについては、下記のプロフィールをご覧ください。

プラントベースホールフードとは

プラントベースホールフードは、現代の加工食品とは対照的に、植物本来の姿をできるだけ保持したままの食品を指します。穀類であれば全粒粉、野菜の場合は皮や種ごとなど、自然に近い状態で取り入れることで、多くの栄養素を摂取できるのが特徴です。

海外では健康意識の高い方々を中心に注目されており、日本では「植物性一物全体食」として、古くから人々の健康を支えてきました。

身体にも環境にも優しい!プラントベースホールフード3つのメリット

綺麗な地球

プラントベースホールフードにはどのような利点があるのでしょうか?ここでは、普段の食生活に取り入れたときの3つのメリットを紹介します。

栄養素をムダなく摂取できる

皮や種など、普段捨ててしまう部分にも、実は栄養がたっぷり含まれています。食材を丸ごと調理し食べることで、栄養素をムダにすることなく、最大限活用できます。

ただし、食材によっては農薬が使われているものもあるため、自然栽培の食材を選ぶことをおすすめします。

食品ロス削減に貢献できる

令和4年度推計の環境省のデータによると、日本における食品ロスは472万トンと報告されています。食べ残しが約100万トン、そのまま廃棄するのが約102万トン、食材の食べられる部分まで取り除く過剰除去が33万トンです。

食材の皮やヘタなどの過剰除去に関して、身近な食べ物に例えると、ご飯1杯150gだとした場合、33万トンをご飯に換算すると約220万杯分に相当します。

また、すべての食材が丸ごと食べられるわけではありませんが、調理の仕方を工夫すれば食べられるものもあります。ムダなく使い切ることで、食品ロスを削減するだけでなく、食費の節約にもつながるでしょう。

2012年度以降、食品の廃棄量は全体では減少傾向にあります。とはいえ、2030年度までに食品ロス量を半減させる(216万トン)に近づけるためには、今後も対策する必要があるといえます。

エコフレンドリーな取り組みができる

プラントベースホールフードを意識することで、環境に優しい食生活へ近づけます。家畜の飼育には、多くの資料や水が必要であり、生産過程で森林伐採や水質汚染などの問題も考えられるからです。

さらに、家畜から排出されるメタンガスは、温室効果ガスとしても知られており、地球温暖化を加速させる要因のひとつといわれています。

一方、プラントベースホールフードは、畜産に比べて水や土地の利用効率が高く、温室効果ガスの排出量も軽減できます。プラントベースホールフードを心がけることで、より良い未来を築くための一歩となるでしょう。

身近な食材を丸ごと活用するコツ

リンゴ

いつもの習慣で食材のヘタや皮を捨ててしまっている方は、食べられる部分まで取り除いていないか、食べられないと思い込んでいないか確認しましょう。ここでは、家庭で良く使う食材をムダなく活用する方法を紹介します。

野菜のヘタや種の有効活用

野菜のヘタや皮は、硬くて繊維質のものが多いため、多めに取り除いてしまう方もいますが、細かく刻んだり、柔らかく煮込んだりすることで、丸ごと食べることができます。

例えば、人参の皮にはβ-カロテンが豊富に含まれているため、皮付きのまま千切りにしてかき揚げにしたり、サラダにしたりするのがおすすめです。ほうれん草の根元の赤い部分には、マンガンが豊富に含まれているため、汚れを良く落としてから使用しましょう。

ブロッコリーの芯の繊維が気になる方は、表面の硬い部分を取り除いてからカットして味噌汁の具にするとおいしく食べられます。

かぼちゃは、皮やワタごと潰してコロッケにすると、食品ロスに役立ちます。種はフライパンなどで炒ってから塩を振ると、おつまみ感覚で食べられますよ。

とはいえ、野菜の皮やヘタを食べるのに抵抗がある方もいるでしょう。そんな方は、野菜くずと水を鍋に入れて、少量の料理酒を加えてから煮込む「ベジブロス(野菜のだし)」にするのがおすすめです。

スープや煮物、炊き込みご飯などに活用するとひと味違う料理が楽しめるので、ぜひ試してみてくださいね。

きのこ類の美味しい調理法

きのこ類は、先端の石づきを取り除けば丸ごと食べられます。おがくずが付いている部分を除いて、先端から1㎝ほどカットして使用しましょう。

しいたけの軸にも旨味がたっぷりあるので、料理に活用すると奥深い味わいになります。佃煮のように調理すれば、ご飯のおかずにピッタリです。エノキの根元と塊のまま焼いて、ステーキのようにして食べる方法もあります。

しいたけには、日本人が不足しがちなビタミンDが豊富に含まれています。水洗いすると風味が落ちるため、汚れが気になる部分はふきんなどで軽く拭き取る程度にしましょう。

美容にうれしい果物の活用法

りんごは表面を良く洗ってから、皮ごと食べることがおすすめです。水溶性の農薬であれば、水洗いで落とすことができます。

また、りんごの皮にはポリフェノールや食物繊維が豊富に含まれているため、美容にうれしい効果が期待できます。皮が気になる場合は、薄く輪切りにして提供すると良いでしょう。切り方を工夫することで、子どもでも食べやすくなります。

りんごの軸やお尻の部分に汚れやほこりが溜まっているので、しっかりと洗ってから食べましょう。

まとめ

プラントベースホールフードとは、できるだけ加工されていない自然な状態の植物性食品のことです。食品を丸ごと食べるように心がけることで、栄養素を無駄なく摂取できたり、食品ロス削減に貢献したり、地球環境に優しい取り組みができます。

また、野菜や果物を調理する際、食べられる部分まで取り除いていないか確認しましょう。工夫次第でおいしく食べることができるため、本記事をぜひ参考にしてみてくださいね。

エシカルフードのプラントベースフード

私たち、エシカルフード株式会社は「食生活が、地球環境を守る」をテーマに、肉食を控える食生活~Meatless Diet(ミートレスダイエット)~という、新しいライフスタイル・価値観を提唱するために、2021年6月に発足しました。

地球にも、身体にも、動物にも優しいプラントベースドフードの企画開発・販売と“Meatless Diet”のための有益な情報発信を通じて、あなたの健康と地球環境を守りたいと考えています。

エシカルフードの商品ページはこちらから
https://ethical-food.co.jp/products/


【参考記事】
出典:「我が国の食品ロスの発生量の推移」(環境省)
出典:「にんじんの栄養、皮の有無でどれくらい変わる?皮ごとレシピ付き」(KAGOME)
出典:「ほうれん草 マンガン・鉄は根元部分に」(日本食糧新聞)
出典:「きのこ栄養!椎茸やえのきなど種類別栄養まとめ&調理のポイント」(KAGOME)
出典:「野菜や果物についた農薬が心配です。洗浄などで落とすことはできますか? 【食品安全FAQ】」(東京都保健医療局)
出典:「野菜くずはおいしさのもと!野菜だし「ベジブロス」を活用しよう」(カモンハウス)