食物繊維と血糖値の関係!管理栄養士がおすすめするプラントベースの食生活

食物繊維とプラントベースの食生活|血糖値が気になる方へ

食物繊維は人の消化酵素では消化することができませんが、第6の栄養素として注目されています。しかし、現代人の食物繊維の摂取状況は昔に比べて不足気味です。そこでおすすめなのが食物繊維を摂取しやすいプラントベースの食生活です。今回は、食物繊維と血糖値の関係や、プラントベースの食生活がおすすめの理由について紹介します。

食物繊維と血糖値の関係

食物繊維は消化・吸収されずに腸に届くため、腸の働きや糖質の吸収を穏やかにするなどの健康への栄養が考えられています。食物繊維が多い食材を食べるときは噛む回数も増えやすくなり、満腹感が得られて食べ過ぎを防ぎやすくなるでしょう。また、脂質やコレステロールなどの吸収を抑えることもできるため、健康に良い影響を及ぼします。

日本人の食事摂取基準2020によると、食物繊維の目標量は成人男性で1日あたり21g以上、成人女性で1日あたり18g以上とされています。しかし、令和元年に実施された国民健康・栄養調査の結果によると、1日あたりの食物繊維の摂取状況は男性で19.4g、女性で17.5gでした。男女ともに不足傾向であるため、積極的に食物繊維を摂ることが大切です。

セカンドミール効果

セカンドミール効果とは、最初の食事が次の食事(セカンドミール)の後の血糖値に影響を与えることを示します。食物繊維を含む食品を食べることで、次の食事の血糖値の上昇を防ぎやすくなるのです。

例えば、朝食で玄米や野菜などを摂った場合、食物繊維の働きによって昼食の血糖値の急上昇を防ぐことが期待できます。

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の違い

食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分類されます。水溶性食物繊維は便を柔らかくしたり、善玉菌のエサになったりします。善玉菌のエサになり、腸内細菌の種類や数が増えやすくなるのが特徴です。

また、短鎖脂肪酸も作られて、インスリンの分泌に関与するGLP-1というホルモンが分泌されるようになり、血糖値の上昇を防ぐ効果が期待できるといわれています。一方、不溶性食物繊維は便のカサを増やす働きがあり、腸の中をゆっくりと移動するため、水溶性食物繊維と同様に血糖値の上昇を緩やかにする働きがあります。

食物繊維が豊富な食材は下記の通りです。

  • 水溶性食物繊維:大麦、オーツ麦、大豆、小豆、きな粉、納豆など
  • 不溶性食物繊維:小麦ふすま、大豆、ごぼう、きのこなど

また、近年では腸内細菌によって発酵されやすい発酵性食物繊維も注目されています。発酵性食物繊維が多く含まれる食材は、小豆やインゲン豆などに含まれるレジスタントスターチや玄米や大麦に含まれるβ-グルカンなどがあげられます。これらの食材を摂ることで、善玉菌のエサ(発酵性食物繊維)をしっかりと大腸まで届けることができるのです。


血糖値が気になる方におすすめ!プラントベースの食生活

プラントベースの食生活とは、動物性食品よりも植物性食品を中心としたスタイルのことです。野菜、果物、穀物、豆類、海藻類、ナッツ類などを積極的に取り入れます。ここでは、血糖値が気になる方にプラントベースの食生活がおすすめの理由を紹介します。

食物繊維が豊富

プラントベースの食生活では、植物由来の食品を中心とした食事を意識するため、自然と食物繊維の摂取量が増え、血糖値の急上昇を防ぐ効果が期待できます。インスタント食品やジャンクフードなどで簡単に食事を済ませる方もいますが、これらの割合の多い食生活を送っていると、野菜が不足しがちです。

種類によっては糖質過多に偏りやすくなり、血糖値が上昇する要因になりかねません。プラントベースの食生活で多く食べられている豆類は、難消化性でんぷんが含まれていて善玉菌のエサになります。レジスタントスターチともいわれ、食物繊維と同様の働きが期待できるため、血糖値の上昇を予防できるのです。

低GI食品を選びやすくなる

玄米や全粒粉パンは、白米や食パンに比べてGI値が低くなります。GI値とはグリセミックインデックスの略で、食品に含まれる糖質が吸収される過程でどのくらい血糖値が上昇するかを示したものです。GI値が高い食品ほど血糖値が上昇しやすく、低い食品ほど糖質がゆっくりと吸収されるため、血糖値の上昇が穏やかです。

それぞれ、GI値70以上で高GI食品、GI値56~69で中GI食品、GI値55以下で低GI食品と分類されます。

実は、プラントベースの食生活で摂取することが多い大豆のGI値は20であり、低GIに分類されます。人参やかぼちゃなどはGI値が高めですが、小松菜やほうれん草などの葉物野菜は比較的GI値が低めです。プラントベースの食生活により、低GI食品を選びやすくなるとともにビタミン・ミネラルも補いやすくなるメリットがあります。


食物繊維をたっぷり摂りたい方におすすめのレシピ3選

食物繊維が不足気味の方におすすめのレシピを3つ紹介します。簡単に作れるものばかりなので、献立に加えてみてはいかがでしょうか?

さっぱり食べられる生春巻き

食物繊維を豊富に含む大豆ミートを使用した生春巻きです。揚げ春巻きよりもカロリーが抑えられるだけでなく、たっぷりの野菜を具材にすれば食物繊維も補えます。具材は自由にアレンジできるため、大根やセロリなどの歯ごたえのある野菜と合わせても良いでしょう。ゆっくりとよく噛んで食べることで、満足度が高まり食べ過ぎ防止につながります。

エシカルミンチの生春巻きのレシピはこちらです。https://ethical-food.co.jp/recipe/%e6%a0%84%e9%a4%8a%e5%a3%ab%e3%81%ae%e3%82%a2%e3%83%ac%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%83%ac%e3%82%b7%e3%83%94%e2%91%a0%e3%80%90%e3%82%a8%e3%82%b7%e3%82%ab%e3%83%ab%e3%83%9f%e3%83%b3%e3%83%81%e3%81%ae%e7%94%9f/

優しい甘みと旨みたっぷりの大根のそぼろあんかけ

柔らかく煮た大根に大豆ミートのそぼろあんをかけるだけのお手軽レシピです。材料を切って煮込むだけなので、料理が苦手な方でも挑戦しやすいでしょう。週末に作り置きしておけば、時間がないときでも調理の手間がかかりません。食物繊維が不足気味のときや、あと一品欲しいときにいかがですか?

大根のそぼろあんかけのレシピはこちらです。https://ethical-food.co.jp/recipe/sorobo_recipe/

10分でサクッと作れるロールキャベツ

冷蔵庫に余りがちなキャベツをロールキャベツにしてみませんか?食物繊維もたっぷり摂れて、冷蔵庫もスッキリするのでおすすめです。キャベツを巻く手間を省き、ミルフィーユ状にして電子レンジで作ります。10分で簡単に作れるので、疲れている日でも家事の負担が軽減できます。

ミルフィーユロールキャベツのレシピはこちらです。https://ethical-food.co.jp/recipe/%e7%b0%a1%e5%8d%9810%e5%88%86%ef%bc%81%e3%80%90%e3%82%a8%e3%82%b7%e3%82%ab%e3%83%ab%e3%83%9f%e3%83%b3%e3%83%81%e3%81%ae%e3%83%9f%e3%83%ab%e3%83%95%e3%82%a3%e3%83%bc%e3%83%a6%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%ab/


プラントベースの食生活を意識すると環境にも良い影響をおよぼす

プラントベースの食生活が習慣化すると、野菜や果物などの量が増えて自然と食物繊維の摂取量が増えやすくなります。さらに、動物性食品中心だった方が植物性食品中心の食生活に切り替えることで、環境保護にもつながる可能性があるのです。

実は、家畜を育てるためには多くの資源が必要となります。家畜の飼料を作るために広大な土地の確保が必要です。海外から飼料を輸入する際、輸送するための燃料もなければなりません。これらは環境に負荷がかかるおそれがあるため、植物性食品中心のプラントベースの食生活を意識することで、環境に優しい取り組みができます。


まとめ

食物繊維には、血糖値の急上昇を抑える働きがあります。プラントベースの食生活を心がけると自然と食物繊維を多く摂取できるようになるでしょう。また、低GI食品を選びやすくなるのもポイントです。食物繊維が不足気味の方におすすめのレシピも紹介しているので、ぜひ試してみてくださいね。