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2024.03.02

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北海道1個分以上の森林が消失?ベジタリアンやヴィーガンが森林破壊を救える理由とは

地球上で進行中の森林減少は深刻な課題のひとつです。たった1年で北海道1個分以上の森林が失われるなど、その深刻度は増しています。
今回は、自身もベジタリアンの池野さんに、上記問題の背後に潜む要因と、なぜベジタリアンやヴィーガンが森林破壊を救えるのかをできるだけ分かりやすく紐解いていただきます。

池野さんのプロフィールは下記の記事を参照ください。

【世界の森林面積推移】世界から森林が減少している

地球上の森林は減少の一途を辿っています。FAO(国連食糧農業機関)の報告によると、世界で消失している森林面積は1990-2020年の30年間で1億7800万ha、これは日本の国土面積の約5倍に値する大きさです。
2015年以降においても年間約1,000万ヘクタール(北海道面積の約1.2倍に相当)のペースで森林が失われています。

森林減少の要因

森林減少の要因は多岐にわたり、また複雑です。主なものとして以下の点が挙げられます。

森林伐採

世界全体で伐採される木材の約半数が、主に燃料としての利用です。
さらに、木材を燃料とする需要は増加しており、これが森林破壊の一因と考えられています。
特に、開発途上国では、生活の中で薪や炭を利用することが一般的であり、そのために木材の需要と消費が著しい増加です。
これは、まだライフラインが整備されていない一部の地域では、薪や炭が主要なエネルギー源となっているためです。

ブラジルは、世界最大の単一の木炭生産国であり、その生産量は世界全体の11%に達しています。
ブラジルの木炭は主に、同国が主要な輸出品とする銑鉄の製造に利用されています。
それに対し、インドと中国はそれぞれ4%の割合です。
残りの木炭生産は、アフリカに拠点を置く国々によって行われており、特にナイジェリア、エチオピア、コンゴ民主共和国、モザンビーク、タンザニア、ガーナ、エジプトなどが挙げられます。
アフリカが、木炭生産国の上位10カ国の中で7カ国を占めています。
2004年から2009年までの期間に、世界の木炭生産量は9%増加しました。
この増加は主に、アフリカの発展途上国において木炭の使用と生産が拡大した結果です。
アフリカでは、収穫された木材の約30%が燃料として木炭の生産に使用されています。

農地拡大

農地の拡大は、世界全体で行われている森林伐採の主要な原因の一つであり、その割合は約60%です。特に、この問題が著しく現れているのは熱帯地域であり、その中でも熱帯雨林が特に影響を受けています。
新しい農地開発のために行われる伐採が、森林面積の急激な減少につながっています。
この傾向は、農業の需要が増加し、食糧や畜産などの生産活動が拡大する中で顕著です。
特に開発途上国では、経済発展や人口増加に伴い、新たな農地の必要性が高まっています。

このような農地拡大による森林伐採は、生態系の破壊や生物多様性の喪失を招くだけでなく、地球温暖化にも寄与します。
熱帯雨林は二酸化炭素の吸収源であり、その減少は大気中の二酸化炭素濃度の上昇につながるなど、悪循環の状況です。
このため、持続可能な農業や土地利用の促進が重要とされています。

気候変動

気温上昇に伴い、森林の健康が損なわれ、病害虫や森林火災の頻度が増加しています。
生態系への影響も深刻です。
これらの要因が相まって、地球上の森林は深刻な危機に直面しています。
その影響は遠くない未来に、私たちにも大きな影響を及ぼす可能性があります。

なぜ、ベジタリアンやヴィーガン(フレキシタリアン)が森林破壊を救えるのか?

環境

そこで期待されるのが、ベジタリアンやヴィーガン(フレキシタリアン)の食生活です。
ベジタリアンやヴィーガンの食生活が、森林破壊の防止に果たす役割は複数あります。

畜産業の抑制

畜産業は、地球上の温室効果ガス排出の約15%を占め、特に多く排出するのが牛で、これは畜産業のうち65%です。
これは主に大規模な森林伐採と密接に関連しています。
畜産業の需要削減は、ベジタリアンやヴィーガンの生活選択によって実現でき、これに伴う森林破壊も減少します。

例えば、1kgの牛肉を生産するためには約15,600リットルの水が必要です。
これには飼料の生産に関連する水も含まれます。
畜産業が占有する膨大な水資源は浪費の要因であり、その削減は地球規模で水源の保全に寄与します。また、水資源の効率的な利用は地域の生態系にも好影響を及ぼし、生態系の安定性を保つ上で重要です。
畜産業の減少により、生態系や環境に与える影響を最小限に抑えつつ、持続可能な食糧生産体制への転換が求められています。

持続可能な農業の促進

ベジタリアンやヴィーガンの需要増加は、持続可能な農業の発展を促進しています。
この傾向により期待されるのが、有機栽培や農業循環システムの導入が進み、農薬や化学肥料の使用が減少することです。
その結果、土壌や地下水の汚染リスクが低減し、生態系への負荷が軽減されています。
また、異なる農業手法の採用により、単一作物栽培から複数の作物を同時に育てる多作型農業が進展中です。

この取り組みが森林の伐採を抑制し、地域の生態系を保全する一助となっています。
多様性豊かな農業アプローチは生態系の安定性を高め、持続可能な農業への移行に寄与しています。

まとめ

地球上での森林減少は喫緊の課題であり、解決には個々の意識と行動が欠かせません。
ベジタリアンやヴィーガンの選択は、環境への貢献が期待されるだけでなく、データと根拠に裏打ちされた明確な意味を持っています。
自らの食生活を見つめ直し、小さな選択が地球全体に及ぼす影響に気づくことが求められます。

ベジタリアンやヴィーガンが共に拓く未来こそが、地球の豊かな自然環境を守る鍵なのです。
森林を救い、持続可能な未来への扉を開くために、私たち一人一人の積極的な行動が不可欠です。
これからも地球と調和した選択を意識的に取り入れ、共に未来を築いていきましょう。

ベジタリアンやヴィーガンの生活は、単なる食事の選択だけでなく、地球環境との調和を象徴しています。
これは個人の選択が持続可能な未来の礎となることを示唆しています。食卓を通して地球を守るための一歩を踏み出し、共により良い未来を築き上げましょう。

■参考文献
https://jacyou.com/39591.html
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kaigai/attach/pdf/index-5.pdf

https://www.gef.or.jp/activityex/forest/world/report/H15report/02_H15report_ecosystem.pdf

https://www.ffpj.org/blog/1
https://www.tokyo-np.co.jp/article/45380