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2023.09.12

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人間は肉食動物?草食動物?それとも雑食動物?【ベジタリアンアスリートが考察】

私たち人間は肉食動物なのでしょうか?草食動物なのでしょうか?それとも雑食動物なのでしょうか?

世間一般では、200万年前の肉食に始まり、1万年〜1万5000年前くらい前(縄文時代)に、「木の実などを食べて生活していた完全な草食動物」の形になったといった考え方の方が一般的のようです。

今回はベジタリアンの池野さんに上記の真相をエビデンスベースで考察していただきます。
ライター池野さんについては下記の記事のプロフィールをご覧ください。

人類は200万年間肉食として進化してきた?

ヒト属(現生人類の祖先)はおよそ200万年前にアフリカでアウストラロピテクス属から別属として分化し、ヒトの属するホモ・サピエンスは40万から25万年前に現れました。またこれらの他にも、すでに絶滅したヒト属の種が幾つか確認されています。

その中にはアジアに生息したホモ・エレクトゥスや、ヨーロッパに生息したホモ・ネアンデルターレンシスが含まれます。

イスラエル・テルアビブ大学の最新研究によると、その200万年間に過剰狩猟でメガファウナ(大型動物)が減少し、石器時代の終わりにかけて動物の食料源が衰退。そのため、1万年前頃から植物性の栄養源を取り入れて、次第に雑食化していきました。 雑食動物に分類される私たちですが、先祖まで遡ると最初から雑食ではなかったようです。200万年の歴史で見ると、殆どの間肉食で、雑食になったのはごく最近のことだと言えます。

人類は長い歴史で見たら肉食、現代は雑食、本当に適している食べ物は?

食事

人類は長い歴史で見ると、殆どの間肉食動物でした。
そう考えると、私たちの食事は肉食が適しているのでしょうか?

しかし、現代人は雑食動物に分類されます。では、私たちの食事は雑食が適しているのでしょうか?

身体的な特徴から考える

この辺りを身体的な特徴から見ていきたいと思います。

腸の長さ

一般的に、肉食動物は草食動物よりも短い腸を持っています。
これは、肉は消化しやすく、素早く吸収されるからです。草食動物は、植物性の食物を分解するために長い腸を必要とします。
雑食動物は、肉と植物の両方を消化できるように、中間的な長さの腸を持っています。

人間(成人)の腸の長さは、6m〜8mで、体長の4倍〜6倍程度です。これは一般的な雑食動物と同じくらいです。 よって、腸の長さから見ると、人間は雑食動物と言えます。

目の位置と機能

目の位置は、その動物が肉食か草食かを判断する一つの手がかりです。
一般的に、肉食動物は目が前に向いており、立体視が発達しています。
これは、獲物を追跡したり捕まえたりするために必要な能力です。一方、草食動物は目が横に向いており、広い視野を持っています。
これは、敵から逃げたり隠れたりするために必要な能力です。
この特徴からすると、人間は肉食動物の特徴に近いです。

しかし、草食動物は色彩覚が発達しており、食べられる植物や毒性のある植物を見分けることができます。
肉食動物は色彩覚が弱く、主に動きや形で獲物を認識します。この特徴からすると人間は草食動物の特徴に近いです。

歯や爪の形状

草食動物は、植物質を主な食料としています。
そのため、硬い草を効率的に消化するために、平たくて大きな臼歯を持ち、臼歯は臼のように草をすり潰す役割をします。

肉食動物の主な食料は生肉です。そのため、獲物に噛みついて殺すために、鋭く尖った犬歯とハサミ状の臼歯を持っています。
犬歯と臼歯は獲物の肉を切り裂く役割を果たします。

草食動物の爪は、ひづめと呼ばれる大きくて頑丈なものです。
ひづめは、肉食動物から逃げるときに長時間走れるようにするほか、大きな体重を支えるようにする役割があります。

肉食動物の爪は、かぎ爪と呼ばれる鋭く尖ったものです。かぎ爪は、獲物を捕まえて殺すときに使われるほか、木に登ったりする役割があります。

以上が、草食動物と肉食動物の歯や爪の違いです。では、人間はどちらに当てはまるでしょうか。
人間は平たい臼歯と尖った犬歯の両方を持っています。また、爪もひづめでもかぎ爪でもなく、比較的小さくて丸いものです。
人間は、様々な食料に適応できるように進化したと言えます。
このことから人間の特徴は、雑食動物です。

人間は基本的に雑食です。でも・・・

パンダの食事

以上のことから、人間(現代人)は基本的に雑食と考えられます。しかし、私はこれだけでは、人間の食性は決められないと思っています。

クマ科のパンダはなぜ草食?

パンダは、クマ科の動物ですが、肉食ではなく草食です。パンダが肉食ではなく、草食な理由は何でしょうか?

パンダの祖先は、約700万年前にアジアに現れた肉食のクマでした。しかし、約400万年前から、気候の変化や競争相手の増加などによって、パンダの祖先は肉食から離れていきました。その結果、パンダは竹を主食とするようになりました。

パンダは、竹を消化するために、特殊な適応をしています。
例えば、パンダの歯は、竹を噛み砕くのに適した形です。
また、パンダの手には、竹を掴むのに便利な「親指」があり、さらに、パンダの腸は、竹の繊維を分解する細菌を多く含んでいます。

パンダが草食動物になった理由は、環境の変化に適応した結果です。パンダは、竹を食べることで、他の動物との競争を避けることができました。

これはパンダだけでなく、人間にも当てはまるのではないでしょうか?

日本人は長い間ベジタリアン?

日本人は、西暦の殆どをベジタリアンとして過ごしてきました。その理由は、仏教の影響と島国の地理的条件にあります。
仏教では、動物を殺すことは罪とされていました。そのため、平安時代から江戸時代まで、肉食は禁止されていました。

また、日本は島国であり、肉を保存する技術が発達していません。そのため、魚や海藻などの海産物が主なタンパク源となっていました。
完全菜食(ヴィーガン)ではありませんが、日本人は長い歴史の中ではほぼ、魚を食べるペスカタリアンでした。

身体的な特徴のところで、肉食動物は腸が短く、草食動物は腸が長いのが特徴だと説明しましたが、日本人は欧米人に比べて腸が長いと言われています。
欧米人の平均が6mなのに対して日本人は8mです。
これは、元来肉食動物だったパンダが、草食に適応したように、日本人も、環境に適応した結果、腸を長くして、草食に近い形になったのではないでしょうか?

また、腸の長さだけでなく、腸内環境も食性を決める大きな要因の一つです。
腸内には100兆個〜1000兆個もの腸内細菌が生息していますが、その腸内細菌の性質によっても、食性は変わります。
私たちの腸内には、欧米人に比べて多くの植物性乳酸菌や酪酸菌を含んでいます。
これらの菌はは野菜(植物)の分解が得意です。

身体的な特徴だけでは、判断できません。しかし、私たちは、パンダと同様、環境に適応する能力があります。
そう考えると、その土地で採れた旬のものを頂くのが、最も適した食事と言えるのかもしれません。
私が取り入れているマクロビオティックでも、地産地消の考えを推奨しています。

まとめ

人類の進化の過程や、身体的な特徴から、人間の食性について見てきました。これらから考察する限り、人間は雑食動物と言えそうです。

しかし、後半で説明したように、日本人と欧米人など、人種によっての違いもあります。当然個体差などの違いもあります。

私たちも自然の一部です。
自然に逆らわずに、自然に沿った暮らし(食も含む)をするのが最も健康的な生き方(食事)と言えるのではないでしょうか?

最後に一つ余談ですが、私は元々瞬発力に自信があり、短距離が得意でした。しかし、ベジタリアンになってからは、瞬発力は落ちましたが、持久力がかなりつきました。

ベジタリアンになる前は4km走るのでいっぱいいっぱいです。
それが69時間で400km走れるようになりました。肉食動物の多くは持久力よりも瞬発力が勝っています。

逆に草食動物の多くは瞬発力よりも持久力が勝っています。
人間は環境に適応するだけでなく、食べているものにも適応する能力があるのかもしれません。

【参考】

・人類は「肉を食べ尽くしたあと」雑食に移行したと判明 200万年間は「肉食」として進化していた

・【理科】人間は雑食動物なのか

https://hiroba.benesse.ne.jp/faq/show/1002?category_id=1150&site_domain=manabi

・Vol.13 肉食系?草食系?~動物の目の不思議~

https://www.nidek.co.jp/visitor_general/eyestory/entry-411.html