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2024.01.19

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ベジタリアンがビタミンD不足を補うには?【栄養士が植物性食品を解説】

古来からの日本人の食事にはビタミンDが多く含まれている食品が多いため、ビタミンDの摂取量は満たされていると考えられていました。
しかし、近年の食生活の変化によって摂取量が低下していることが指摘されています。

ビタミンDは血中のカルシウム調整をおこなう大切なビタミンです。
今回は栄養士のkayanoさんに、特にベジタリアンがビタミンDを補うにはどのような食事をすれば良いか解説していただきます。

栄養士kayanoさんについては下記のプロフィールをご覧ください。

日本人のビタミンD摂取量が低下している?

東京慈恵会医科大学などのチームによる研究で、都内の成人男女5518人の血液の中のビタミンD濃度を調べたところ、全体の98%が必要値を下回った結果が報告されました。
年齢が低いほどビタミンDが不足する傾向があったとも報告されています。
皆さんはビタミンDを意識的に摂っていますか?
おそらくほとんどの人が意識をしていないと思います。そもそも、ビタミンDが多い食品を知らないかもしれません。

例えば「ビタミンC」と聞くと、酸っぱいイメージが浮かびますよね。
ビタミンCは主に果物に多いと思われがちですが、実は酸味をあまり感じないパプリカ、キャベツ、じゃがいもなどの野菜にも多く含まれています。
カロリー・糖質・タンパク質・脂質を意識していても、ビタミン、ミネラルまで考えて買う人は少ないです。

ビタミンDは骨の吸収に関わるビタミンです。
血中カルシウムの調整をおこなうため、ビタミンDが不足すると骨軟化症のリスクが高まります。
また、免疫機能にも大きく関わっているので、不足すると免疫機能が低下して風邪などウイルスの影響を受けやすくなります。

食品を買うときにビタミンの含有量までは考えないかもしれませんが、私たちの体をつくる上で重要な栄養素です。
ある程度、どのような効果が期待できるのかは把握しておくことが大切です。

ビタミンDが含まれている食品

ビタミンDは魚介類やきのこに多く含まれています。
野菜や穀物、豆類にはほとんど含まれていません。

魚では鮭やアジ、イワシ、きのこ類では特に干しシイタケに多く含まれています。
日本では昔から魚介類やきのこを食べる文化がありました。そのため、ビタミンD不足は起きにくいとされてきたのです。

しかし、現代は欧米の食スタイルが確立しつつあります。
魚の摂取が減って肉中心の生活になり、野菜やきのこの摂取量も少なくなっています。
この変化が、今回のビタミンDの摂取不足という結果に繋がりました。

ビタミンDの摂取量は18歳以上の男女ともに8.5㎍が目安量として設定されています。
厚生労働省がおこなった令和元国民健康・栄養調査によれば、日本人のビタミンDの平均摂取量は6.9㎍と若干少ない値を出しています。

摂取不足を回避するためには、ビタミンDを意識的に摂ることが大事です。
さらにビタミンDは唯一、日に当たることでも体内で生成される栄養素です。

日光に当たる時間が増えると体内でのビタミンDの生成が進みます。
しかし、現代は屋内での活動が増え、日焼け止めによる紫外線の防止で日光を避ける人が増えています。

紫外線を過剰に浴びる行為はしみ・シワの原因になるので、朝起きた際に日光を浴びたり、外で習慣的にウォーキングをしたりなど、極端にならない程度に外での活動をおこなうこともビタミンD不足を防ぐ方法と言えるでしょう。

ベジタリアンが摂るべき食品と摂取方法

乾燥きのこ

ベジタリアンはどのようにしてビタミンDを摂取すれば良いでしょうか。
ビタミンDは主に魚介類、きのこに多く含むため、きのこを中心に摂取していきましょう。

ビタミンDは脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂取すると吸収率が上がります。
炒めたりマリネしたり、油と和えてきのこを摂取するのがおすすめです。
特に干しシイタケや乾燥きくらげなど、乾物は干す前の状態よりも栄養価が高くなります。
乾物のきのこを選ぶ際には「天日干し」を選ぶようにしてください。

また、ビタミンDはカルシウムの吸収率を上げます。
骨粗しょう症や骨軟化症を防ぐためにカルシウムを多く含む食品と合わせての摂取もおすすめです。
植物性食品では豆腐やひじき、ほうれん草、小松菜に多く含まれているので、きのこと一緒に煮物やスープにして摂取しましょう。

その他に日光浴も摂取不足を防ぐ方法です。
サプリメントの摂取も方法の一つとして推奨されていますが、ビタミンDの過剰摂取は消化器官に影響して吐き気やめまいなどの体調不良に繋がります。

不足・過剰、どちらも極端にするのは危険行為なので注意しましょう。
心配な場合は病院やクリニックで相談することをおすすめします。

栄養面にも気をつけて食事を考えよう

今回はビタミンDについてご紹介しました。
しかし、私たちの体は他にも様々な栄養素が必要であり、しっかりと摂取することで体は機能していきます。

冒頭でもお伝えしたように、日本人の食生活は欧米化しつつあります。
様々な食スタイルが確立されてきた現代だからこそ、食事をする際には一人一人が栄養について学び、バランスを考えながら摂取することが重要です。

ビタミンDだけではなく、その他の栄養にも着目しながら毎日の食事を組み立てていきましょう。