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2024.01.25

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昨今、大豆ミートの需要が高まる理由。あなたはなぜ選ぶ?【栄養士からの視点】

日本における大豆ミートの市場は近年、拡大が続いています。
2025年度には、その市場規模は40億円を達成するとも言われています。
スーパーやコンビニでも大豆ミートを使った商品を見掛けることが増えましたよね。
なぜ昨今ここまで需要が高まっているのでしょうか。

今回は大豆ミートの需要が高まる理由と今後の展開について栄養士のkayanoさんに解説していただきます。栄養士kayanoさんのプロフィールは下記の通りです。

日本の大豆ミート需要の高まり

日本の大豆ミートの需要は年々増加しています。
以前から商品としてありましたが、健康志向が高い人向けのお店やネット通販が中心の販売で、スーパーやコンビニなど多くの人が目にする機会はありませんでした。

需要が高まり始めたのは、ここ数年です。
特に2015年に国連によって採択された、SDGsへの取り組みが本格的になり始めてから大豆ミートが注目されるようになりました。

大豆ミートとSDGsがなぜ繋がっているのでしょうか。
実は大豆ミートは環境問題や食糧問題の解決に配慮されている食品です。

皆さんは牛肉を1kgつくるためにどれだけの資源が使われているのかご存知ですか?
牛のエサに使われる穀物は約11kg、水は約20,000リットル使用されています。
さらに、世界では家畜を飼育するための土地開拓で毎年330万ヘクタールの森林が減少しています。

また、牛のゲップによって発生するメタンガスには二酸化炭素の約25倍もの温室効果があるとされています。
家畜のゲップ・排せつ物による温室効果ガスの割合は全体の中でも多く、地球温暖化に強く影響しているのです。

そして世界で懸念されている問題に人口増加があります。
現在、世界人口は80億人を突破しており、今後も人口は増え続け2050年頃には100億人になると言われています。

人口が増加して肉の消費量が増えれば、森林伐採、穀物・水の大量使用によって環境に負荷がかかり、温暖化のスピードも加速してしまいますよね。
大豆ミートは肉と同様の良質なタンパク質がありながら、肉よりも生産が簡単かつ資源の使用が少なく済みます。

日本は大豆を古来から食べてきたこともあり、大豆食品を扱っている企業も多いです。
SDGsが広まり社会意識が高まってきている中で、企業は大豆ミートの開発を進め、消費者も大豆ミートを選択するという良い循環が生まれた結果、大豆ミートの需要が増え続けているのです。

大豆ミートを選ぶ理由は様々

大豆ミート

大豆ミートを目にする機会が多くなった今、皆さんはどのような理由から大豆ミートを選んでいますか?

前項で挙げたように環境・食糧問題の意識から選択する人もいるかと思いますが、日本では健康・ダイエット意識から選んでいる場合が多いです。
実際、大豆ミートは高タンパク質・低糖質・低脂質でコレステロールは含まれていません。
筋肉づくりやダイエットに向いている食品です。

SNSの普及でモデルやインフルエンサーが大豆ミートをはじめとするプラントベース食品の写真や動画をあげたことを理由に大豆ミートに興味を持つ人もいます。
ニュースで取り上げられる機会も増えましたよね。
また、ベジタリアン・フレキシタリアン・ヴィーガンは年々増加しています。
宗教、環境配慮、動物愛護などの理由から肉を食べない人は、主に豆・大豆がタンパク源です。大豆ミートを選択する機会も多くあります。

選ぶ理由以外のメリットにも着目してみよう

スーパーで大豆ミートを使用したパスタソースやカレーを見掛けることが増えました。街中にはプラントベースを扱った飲食店が増えています。

多くの人が「大豆ミート=ヘルシー」というイメージを持ちますが、より深く大豆ミートのメリットに注目してみましょう。

近年、世界中で気候変動が起きています。日本も例外ではありません。
大豆ミートが増えている理由の裏には、健康ブームだけではなく、環境・食糧問題の影響が私たちのすぐ近くまで迫ってきている状況という点も考えなければなりません。

私たち一人一人の行動が地球の未来をつくります。
大豆ミートを選択する行動は、自分のみならず地球全体にも関わる行動に繋がるのです。

大豆ミートの今後の課題

日本の大豆ミート商品は増え続けていますが、海外と比べるとプラントベース食品を意識的に選択している人は少なく、大豆ミートを避ける人もいます。
今後は、どのようにしてより幅広い世代に大豆ミートを選択してもらえるのかが課題となってきます。

大豆ミートが販売されるようになった初期と比べると食感・味は肉に近づき、日進月歩で美味しさはアップしています。
コンビニ弁当や惣菜に一部大豆ミートが使われるようにもなっていますよね。

保存技術も進化し、レトルト食品として販売されることも増えました。
ミンチ、ブロック、フィレなど料理にアレンジしやすいようにタイプ別の販売もされています。

今まで大豆ミートに関心が無かった人は、まず習慣的に大豆ミートを選択するところから始めてみましょう。
メイン料理に肉・魚だけではなく大豆ミート(プラントベース)の選択肢を入れることが大切です。
大豆ミート市場が広がる中で、その背景にある状況を意識しながら少しずつでも選択をしていきましょう。