「プラントベースフードは体に良さそうなイメージがあるけれど、ちょっと高い……」そう感じている方はいませんか?
プラントベースフードは、原材料や作業工程、市場のニーズなど、さまざまな要因によって価格が変動することがあります。
そこで今回は、プラントベースフードが高くても注目されている理由や、そもそもなぜ価格が高くなってしまうのかを管理栄養士の下田さんに詳しく解説していただきます。
今回は、プラントベースフードを選ぶコツも合わせて、ぜひ参考にしてみてください。
管理栄養士の下田さんについては下記のプロフィールをご覧ください。
価格が高くてもプラントベースフードが注目される理由
プラントベースフードとは、植物性の食品を指し、プラントベースを取り入れた食事とは、動物性食品を含まないまたは極力減らした食事スタイルのことです。
プラントベースフードには、加工しないホールフードの他に、大豆ミートやオーツミルクなどの代替食品があります。
代替食品の原材料は植物性ですが、味や食感は動物性食品に近づけていることから、普段の食事に置き換えて楽しめるのが特徴です。
ここでは、プラントベースフードが高くても注目される理由を解説します。
健康志向の高まり
プラントベースフードが注目される理由のひとつに、健康意識の高まりが考えられます。
動物性食品から植物性食品中心の食生活にシフトすることで、低カロリー、低脂質につながりやすくなるからです。
そのため、痩せにくい方や健康を意識した食生活を送りたい方に注目されています。
今まで糖質過多や動物性食品の多い食事を続けていた方は、プラントベースフードを取り入れることで、食生活を見直すきっかけになるかもしれません。
また、動物性食品にアレルギーがある方にとって、プラントベースフードが役立つこともあります。
環境問題や動物愛護への配慮
環境問題や動物愛護について考える機会が増えたことも、プラントベースフードが注目される理由です。
近年、地球温暖化や干ばつなど、さまざまな問題が山積しており、これらが私たちの食生活にも影響をおよぼす可能性があります。
また、たんぱく質源になる肉類ですが、生産過程で発生する牛のゲップには、地球温暖化の原因となり得るメタンガスが含まれています。
その点、プラントベースフードは植物性由来となっているため、生産過程で温室効果ガスの排出量が動物由来のものに対して少ない傾向があるのです。
環境への負荷を考えると、今後もプラントベースフードが注目されることが予想されるでしょう。
食の選択肢の増加とたんぱく質不足への懸念
現代は食の多様化によって、選択肢の幅が広がりました。動物性食品に偏った食生活を見直して、植物性食品中心の和食を意識する方も増えたことで、プラントベースフードが注目されています。
また、人口増加の影響により、動物性たんぱく質が不足することもあるかもしれません。
国際連合広報センターの報告によると、地球の人口は2019年時点で77億人だったのに対し、2050年までに97億人に増加すると推測されています。
このような理由から、プラントベースフードは肉や魚などの動物性食品の代替品として、注目されているのです。
出典:「世界人口推計2019年版:要旨 10の主要な調査結果」(国連連合広報センター)
【具体例】プラントベースフードの価格が高くなる3つの理由
プラントベースフードは、健康志向の高まりや環境保護の観点から注目を集めていますが、一般的に高価格であるというイメージがある方もいるでしょう。
ここでは、プラントベース食品を企画・開発・販売しているエシカルフード株式会社を具体例にあげ、価格が高くなりやすい理由について解説します。
理由①生産できる工場が限られているため
ヴィーガン・グルテンフリー製品を製造するためには、動物性の原材料やグルテンを含む製品を製造するラインとは別の設備が必要です。
エシカルフードのプラントベースドフードはすべてヴィーガン認証を取得しています。
ヴィーガン認証を取得するための基準はかなり厳しく、またグルテンフリー専用の製造設備などを用意しなければならず、製造できる工場は限られてしまうのが現状です。
また、プラントベースフードの風味や食感を再現するための技術や、研究開発、品質管理の徹底も欠かせません。
これらの要因が作用して、プラントベースフードの生産コストを押し上げ、結果的に価格が高くなる傾向があります。
理由②受注生産のため
フードロスをなくすため、市場のニーズに合わせて大量生産ではなく受注生産をしていることも、価格上昇につながる要因です。
過剰な在庫を抱えることで、商品がムダになってしまうと、フードロスにつながり地球環境にとっても良い影響をおよぼしません。
受注生産では、お客様のニーズに合わせて多様な製品を少しずつ生産することが可能です。
しかし、人件費や物流費がかかり、生産コストの上昇を招くことにもなりかねません。
理由③妥協せず原料を厳選しているため
エシカルフード株式会社では、可能な限り無添加にこだわり、試作を重ねて原料を厳選しています。
例えば使用しているこんにゃくは、こんにゃく粉の中でも特に質の良い特級粉を使用し、大豆はもちろんNON-GMO、醤油はグルテンフリー醤油を使用しています。
材料や製法にこだわりがある分、生産コストが高くなりやすく、販売価格にも影響を与えてしまいます。
また、無添加にこだわり徹底した品質管理を行うには、原料の選定から製造工程まで細心の注意を払わなければなりません。製造工場では、出荷前に全ての商品を目視検査しており、確実に安心な商品をお客様にお届けできるよう徹底しています。
そのため、どうしても生産コストを抑えることが難しくなり、価格が高くなる傾向にあります。
管理栄養士が解説【プラントベースフードを選ぶときのポイント】
プラントベースフードを選ぶ理由や基準はさまざまですが、選び方にはちょっとしたコツがあります。
ここでは、健康を意識したプラントベースフードの選び方について解説します。
栄養素が偏らないように全体のバランスを考える
プラントベースフードを選ぶときは、特定の栄養素が不足しないように注意しましょう。
これらの原材料には、豆類やナッツ類、穀類、野菜類、果物類などの植物由来の食材があげられます。
植物性食品中心となるため、今まで肉類などの動物性食品から摂取していたたんぱく質や鉄分などが不足しやすい傾向があります。
不足しがちな栄養素を補うために、たんぱく質であれば大豆やえんどう豆、枝豆などの豆類から植物性たんぱく質を意識して摂取しましょう。
また、鉄分を補うために非ヘム鉄の小松菜やひじき、ほうれん草などを取り入れるのもおすすめです。
ヘム鉄に比べて吸収率が低下しますが、野菜や果物に多く含まれるビタミンCやクエン酸などと一緒に摂ると吸収率がアップします。
食品表示を確認する
食品添加物が気になる方は、プラントベースフードを選ぶときに商品のパッケージに記載されている原材料名を確認することをおすすめします。
商品のパッケージにある「添加物欄」または「原材料欄」を確認して、気になる食品添加物が使われていないかチェックしましょう。
食品添加物の記載は、原材料名のスラッシュ「/」以降や、改行後に書かれているため、ぜひ参考にしてみてください。
また、含有量が多いものから順に並んでいるのもポイントです。食品表示を確認しながら、加工度が低いものや原材料が少ないものなどを選ぶと良いでしょう。
ただし、食品添加物を控えた商品を作るには、原材料を吟味したり、さまざまな工程を経る必要があったりするため、生産コストがかかってしまいます。
プラントベースフードを取り扱っている店舗は少ないですが、需要が高まればもっと手軽に購入できるようになるはずです。
市場規模は大きくありませんが、私たちがプラントベースフードを応援することで、より多くの方に届くきっかけになるでしょう。
まとめ
プラントベースフードは、健康志向の高まりや環境保護、動物愛護などの観点で幅広い年齢層の方から注目されています。
しかし、生産には専用設備の準備が必要となり、厳選した原料の調達なども考えなければなりません。そのため、プラントベースフードの価格は一般的に高くなりやすい傾向があります。
プラントベースフードを活用する方が増えれば、価格帯も抑えられる可能性があるため、この機会に食生活を見直してみてはいかがでしょうか?
エシカルフードのプラントベースフード
私たち、エシカルフード株式会社は「食生活が、地球環境を守る」をテーマに、肉食を控える食生活~Meatless Diet(ミートレスダイエット)~という、新しいライフスタイル・価値観を提唱するために、2021年6月に発足しました。
地球にも、身体にも、動物にも優しいプラントベースドフードの企画開発・販売と“Meatless Diet”のための有益な情報発信を通じて、あなたの健康と地球環境を守りたいと考えています。
エシカルフードの商品ページはこちらから
https://ethical-food.co.jp/products/
【参考記事】
出典:「世界人口推計2019年版:要旨 10の主要な調査結果」(国連連合広報センター)
出典:「鉄|e-ヘルスネット」(厚生労働省)
出典:「食品表示の内容を正しく理解するための“食品添加物表示に関するマメ知識”」(消費者庁)