COLUMN

2023.12.30

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プラスチック汚染が環境に与える問題と対策とは?|管理栄養士が徹底考察

プラスチック製品は軽くて丈夫なので便利ですが、廃棄することで環境に悪影響をおよぼすおそれがあります。
このまま海洋汚染が続くと、生態系の維持が難しくなってしまう可能性もあるでしょう。そのため、地球環境にやさしい生活を意識することが大切です。

今回は、プラスチック汚染による環境への影響や身近にできる対策について管理栄養士の下田さんにご紹介いただきます。
ライター下田さんについては下記のプロフィールを参照ください。

プラスチックごみが増えることで起こり得る影響

海で捨てられたプラスチックや、海まで流れ着いたプラスチックにより、海は次第に汚染されていきます。
プラスチックごみが増えると、「生態系の変化」「漁獲量の減少」「人体への影響」が懸念されます。
プラスチックごみがどのような影響を与えるのか、詳しく見ていきましょう。

生態系の変化

海洋生物は、海に流れ着いたプラスチックごみ(ビニール袋、ストローなど)を誤って飲み込んでしまうことがあります。
プラスチックごみが身体にまとわりついてしまい、身動きが取れなくなってしまう海洋生物もいます。最悪の場合、生きることが難しくなってしまうこともあるかもしれません。

環境省によると、平成30年度に回収された漂着ごみは約3.2万トンであると報告されています。
プラスチックごみの割合が一番高く、主なごみとしては飲料用ボトルや漁網・ロープ、ポリ袋などが多くありました。

これらのごみが劣化して小さくなった5ミリ以下の大きさのものは、マイクロプラスチックと呼ばれます。
小さなごみのため、海洋生物が誤飲してしまっても取り出すことが難しく、体内で炎症反応などを引き起こすおそれがあるため注意が必要です。
また、プラスチックは自然分解されずに残り続けるため、ごみを減らすよう努めることが大切です。

ごみの影響による漁獲量の減少

プラスチックごみを誤飲して命を落としてしまう海洋生物が増えると、漁獲量の減少にも影響をおよぼす可能性があります。プラスチックごみに触れて傷を負ってしまう海洋生物もいるでしょう。
ごみの影響により、海洋生物の生態系が崩れると本来獲れるはずの魚などが減少し、私たちの食生活へも影響を与えるおそれがあります。

人体への影響

小さなマイクロプラスチックは、体内に入っても分解されずに蓄積してしまうことがあります。
マイクロプラスチックを誤飲してしまった魚介類が市場に出回ることもあるかもしれません。すべて把握することは難しい状況ですが、ごみの増加とともに可能性が高まることが予想されます。

また、マイクロプラスチックは歯磨き粉や洗顔、化粧品にも含まれていて、PCB、ダイオキシン、DDTなどの残留性有機汚染物質と呼ばれる有害化学物質を取り込みやすいといわれています。
マイクロプラスチックを含む製品を使用したり、ビニール袋などのごみを捨てたりする度に海が汚染されやすくなり、有害化学物質が海洋生物の体内に蓄積される可能性があるため注意が必要です。

マイクロプラスチックを食べた小魚を中型の魚が食べ、さらに大きな魚が食べるなど、食物連鎖によって有害化学物質が蓄積された食品が広く行き渡る可能性が懸念されています。

食物連鎖による人体への影響を減らすには?

WWFによるDalbergの最新レポートによると、人が1週間に摂取しているプラスチックの量は、約5g(クレジットカード1枚分)に相当すると報告されています。
プラスチックは食物連鎖によって知らず知らずのうちに体内に取り込まれています。
特に、水道水やペットボトルなどの飲料水からの摂取量は多く、同様に食品からも検出されました。

とはいえ、マイクロプラスチックが人体に与える影響に関しては、まだ解明できていないこともあります。魚を食べたことですぐに問題になるとも限りません。
ただし、魚がマイクロプラスチックを食べていた場合、その魚粉を餌にしている鶏や豚にも連鎖する可能性があるため、気になる方は代替品を活用する方法もあります。

例えば、代替肉や代替魚などを活用すれば肉の消費量も減らしながら、マイクロプラスチックの問題を回避することもできるでしょう。
ゆるベジタリアンといわれるフレキシタリアンであれば、制限が厳しくないので肉や魚が食べたいときは調整することも可能です。
極力マイクロプラスチックを体内に取り込みたくない方は、食材の選び方にも配慮してみるのも良いかもしれません。

プラスチック汚染を食い止める!身近な対策3選

海に流れ着くごみはもともと、私たちが使用した生活ごみなどです。プラスチックごみの約9割は、リサイクルされずに捨てられているともいわれています。
そのため、環境問題を考えるうえで、身近なごみ問題について考えることが重要です。ここからは、プラスチック汚染対策としておすすめの方法をご紹介します。

【Reduce(リデュース)】ごみを出さない

リデュースとは、製品を作るときの資源を減らしたり、廃棄されるもの事態を少なくしたりすることです。耐久性が高いものやメンテナンスしながら長く使えるものを揃えてみるのもおすすめです。
例えば…
・マイバック、マイ箸、マイストロー、マイボトルなどを使う
・荷物を入れるときはレジ袋ではなく、マイバックにする
・使い捨て食器を使わない
・必要以上にビニール袋を使わない
・食品を温めるときは、ラップをかけずにふた付き容器を活用する
・ごみは持ち帰る

【Reuse(リユース)】ものを大切に使う

リユースとは、製品やその一部を繰り返し使用することです。詰め替えて使う場合は、衛生面にも配慮しましょう。
例えば…
・ペットボトルを再利用する
・詰め替えボトルを使用する

【Recycle(リサイクル)】再利用を心がける

リサイクルとは、廃棄されたものを原材料やエネルギー源として有効利用することです。
俳優のジェシカ・アルバさんは、地球環境にやさしい生活を目指して活動しています。
自身でも、ペットボトルから再生したプラスチック素材で作られた水着を着用するなどの取り組みをしています。
例えば…
・プラスチックを分別回収して、原料として再利用する
・再生プラスチック製品を使う

普段の生活でプラスチックをどのくらい使っているのか意識すると、案外多いと気づく方が少なくありません。
特に、日本は一人当たりのプラスチック容器包装の廃棄量が世界で2番目に多いといわれています。

上述した行動はどれもすぐに始められて簡単に継続できるものばかりです。
実践できることがあれば、ぜひ試してみてください。

管理栄養士おすすめ!食事から考える身近な環境対策

前述でご紹介した「ごみを出さない」「ものを大切に使う」「再利用を心がける」こと以外にも、身近でできる環境アクションはたくさんあります。
なかでも、肉の代わりに大豆ミートなどの代替肉を活用する「ミートレスな食生活」を取り入れてみるのがおすすめです。

なぜなら、畜産から排出される温室効果ガスによる地球温暖化や水質汚染、森林伐採などが懸念されているからです。
ミートレスな食生活は肉や魚などをすべて制限するヴィーガンと違うので、ゆるく始められるメリットがあります。
環境負荷を減らすためにも、ミートレスな食生活を意識してみてはいかがでしょうか?

まとめ

プラスチックは生態系や漁獲量、人体などへの影響が懸念されていますが、意識しながら使えば便利な道具になります。容器に使い、手軽に入手できることで食品ロスの削減につながることもあるでしょう。
しかし、海洋プラスチック汚染を回避するには、プラスチックをなるべく使わないようにしたり、違うもので代用したりするなど、身近な対策を講じる必要があります。

家畜においても、マイクロプラスチックを含んだ餌を食べている可能性があります。代替肉や代替魚、大豆ミートなどを上手に活用して、環境負荷を減らす工夫も選択肢のひとつです。

このように、プラスチックを使ったあとのことまで考えて、普段から環境問題について考えることが大切です。小さな一歩が環境を守ることにつながるため、普段から環境問題に関心をもって過ごしてみませんか?

エシカルフードのプラントベースフード

私たち、エシカルフード株式会社は「食生活が、地球環境を守る」をテーマに、肉食を控える食生活~Meatless Diet(ミートレスダイエット)~という、新しいライフスタイル・価値観を提唱するために、2021年6月に発足しました。

地球にも、身体にも、動物にも優しいプラントベースドフード」の企画開発・販売と“Meatless Diet”のための有益な情報発信を通じて、あなたの健康と地球環境を守りたいと考えています。

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https://ethical-food.co.jp/products/


【出典】
「海のプラスチックごみを減らしきれいな海と生き物を守る!」(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201905/1.html
「私たちの生活(ごみ)と海洋汚染」(海上保安庁)
https://www.kaiho.mlit.go.jp/mission/kankyou/kaiyoukankyou/seikatutogomi.pdf
「海のプラスチックごみを減らしきれいな海と生き物を守る!」(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201905/1.html
「洗顔料や歯磨きに含まれるマイクロプラスチック問題」(環境省)
https://www.env.go.jp/content/900542809.pdf
「NOPLASTIC IN NATURE」(WWF)
https://yourplasticdiet.org/wp-content/uploads/2019/06/PLASTIC-IGESTION-WEB-SPRDS.pdf
「YOUR PLASTIC DIET」(WWF)
https://www.wwf.or.jp/file/20190612_oceana01_1.pdf
「やめよう、プラスチック汚染」(国際連合広報センター)
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/beat_plastic_pollution/
「海のプラスチックごみを減らしきれいな海と生き物を守る!」(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201905/1.html

【参考文献】
https://www.elle.com/jp/culture/g41141904/climate-change-celebrities-quotes-220912/
https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/g36582033/eco-friendly-celebs-210604-hns/
https://www.env.go.jp/content/900543555.pdf
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html
https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202102_07.pdf
https://www.cuc.ac.jp/om_miraitimes/column/u0h4tu00000013vf.html
https://gooddo.jp/magazine/oceans/marine_pollution/plastic_garbage/

https://www.plasticsoupfoundation.org/en/2022/07/80-of-cow-and-pig-meat-blood-and-milk-contains-plastic/