COLUMN

2022.01.31

COLUMN現代食生活について/ライフスタイル

肉食中心の現代食生活が地球に及ぼす影響とは?

「肉が好き」という方は多いのではないでしょうか?

現代の日本人は、50年前と比べて肉食の量が増えました。

しかし肉食が与える影響を知っている方は多くありません。

今回は現代の食生活と、肉食が地球に与える影響を説明します。

私たちは大量の肉を食べるようになった

日本人の食生活は50年前と比べ、大きく変わりました。

特に変化があったのが「肉を食べる量」です。

日本では古来より肉を食べる文化はあったものの、基本的には米や野菜、魚が中心の食生活でした。

しかし第二次世界大戦以降、日本では食の欧米化が進み、高動物性タンパク質と高脂質の食事が一般的に。

一人当たりの肉の年間消費量は1960年代は3.5kgでしたが、2016年は約9倍の30kgになりました。

中でも、ヘルシーなイメージのある鶏肉の消費は増加傾向にあり、今後も消費増加が予想されています。

参考:農林水産省「お肉の自給率」

食肉の需要増加により工業型畜産が拡大

食肉の量が増えたのは、日本だけではありません。

世界中の先進国でも、肉食需要が高まりました。

その結果、少しでも安く、大量の肉を生産できる「工業型畜産(集約畜産)」が増えました。

「工業型畜産」とは、コストを最小限に抑えつつ生産を最大化した畜産の仕組みです。

日本をはじめとする先進国が安い肉を求めることにより、世界中で工業型畜産は拡大しています。

工業型畜産は環境や私たちにどんな影響を与えているの?

「好きなものを好きなだけ食べる」というのは、幸せを感じるためには必要かもしれません。

しかし、自分が好きなものをたくさん食べることで、他の誰かや地球に悪影響を与えているとしたら

どうでしょう?

肉食、特に「工業型畜産」は地球環境に様々な被害をもたらしています。

地球温暖化を促進させている

工業型畜産は、大量の温室効果ガスを作り出します。

例えば、豚の精肉1kgあたりの二酸化炭素排出量は約7.8kgです。

その内訳は以下のとおり。

  • 30%:餌の生産や輸送
  • 50%:ふん尿処理
  • 17%:子豚舎の暖房など飼育管理
  • 3%:食肉処理場での加工

さらに、小売店に並ぶまでに追加で約3.3kgの二酸化炭素を排出すると言われています。

牛肉はさらに多く、飼育から加工まで工程で排出される二酸化炭素の量は23.1kgにもなります。

参考:東京新聞「バカにできない?肉の生産で出る温室効果ガス」

工業型畜産から出る二酸化炭素の量は、地球上すべての輸送機関から出る量なんだとか。

さらに、牛の出すゲップに含まれるメタンも地球温暖化を促進させます。

メタンガスは二酸化炭素の50倍以上もの温室効果を持ち、世界で排出される温室効果ガスの約4%がメタンと言われます。

森林破壊につながっている

大量の家畜を飼育する放牧地を確保したり、家畜用飼料を生産するためには、広大な土地が必要です。

そして土地を確保するために、森林伐採が世界中で行われています。

「地球には緑がたくさんある」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、地球の陸地のうち26%は家畜の放牧地に使用されています。

また、世界の農地のうち約80%が放牧地に使用されていると言われています。

2019年ごろからニュースなどで見るようになった「アマゾン火災」をご存知でしょうか?

ブラジルを中心とするアマゾンで発生する火災が、2019年から急増したのです。

アメリカ航空宇宙局(NASA)はアマゾン火災の原因を「土地開発の結果」であると発表しています。

工業型畜産による家畜の餌を育てる土地を確保するために、アマゾンの土地が燃やされているというニュースは、世界中を驚かせました。

アマゾンだけでなく、世界中で同じような森林破壊が起きています。

工業型畜産は、森林破壊の原因の80%を占めているとも言われています。

参考:GREENPEACE「肉食と環境破壊の驚くべき意外な関係」

水不足を引き起こしている

工業型畜産は、水不足も引き起こします。

畜産には、大量の水が必要だと聞いたことはありませんか?

牛1頭を育てるには、エサとなる穀物や牛の飲み水が必要です。

さらに牛が成長したあと、食肉にするための加工にも大量の水を使います。

一般的に、牛肉1kgを作るのに20,600L、豚肉には5,900L、鶏肉には4,500Lの水が必要だと言われています。

一方で大豆1kgを生産するのに必要な水は、わずか2,500L。

比較してみると、畜産業でいかに大量の水が使われているかがよく分かります。

参考:環境省「バーチャルウォーター」

世界では現在も水を巡った紛争が起きており、ユネスコによると2030年には世界の半分が水不足になると予想されています。

日本は周りを海に囲まれているため、水不足問題を認識するのは難しいかもしれません。

しかし日本は食材の多くを輸入に頼っているため、世界の水不足は、日本人の食生活にも大きく影響します。

参考:UNESCO「New report highlights crucial role of water in development」

まとめ

今回は現代の食生活における肉食に焦点を当て、環境にもたらす影響を紹介しました。

肉食が絶対にダメとは言えません。

しかし、私たちが何気なく食べているお肉にはどれだけのコストや資源が使われているかを知ることは大切です。

きれいな地球を残していくため、地球に住む人々が幸せに暮らすために、お肉を食べる量を意識して減らしてみてはいかがでしょうか?