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2023.12.16

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干ばつが進むとどうなる?管理栄養士が考える【今私たちができることとは】

近年、世界中で地球温暖化による干ばつや洪水などが問題になっています。気候変動が続くと農作物の生育に悪影響をおよぼしかねません。
干ばつにより農作物の生産量が減ると家畜の飼料が不足し、食品の価格高騰につながる可能性もあります。
そこで今回は、管理栄養士の下田さんに干ばつの原因や対策についてご紹介いただきます。
下田さんについては下記のプロフィールを参照ください。

干ばつとは?砂漠化との違い

干ばつとは、数ヶ月から数年にかけて降水量が減少するなどにより、水不足になることです。
一方、砂漠化は乾燥地で起こる土地の劣化を示し、植物が育ちにくくなります。干ばつが続くと砂漠化が進行するおそれがあるため、注意が必要です。

地球温暖化が干ばつを引き起こす原因に

地球温暖化による異常気象が進むと、水不足や干ばつのリスクが高まりやすくなります。
パリ協定の目標として定められている1.5℃や2.0℃の温暖化であっても、干ばつの確率や火災面積、火災にともなうCO2排出量とPM2.5の排出量が現在よりも増加する見込みです。

3.0℃温暖化すると、上述したCO2排出量とPM2.5の排出量が悪化することもわかっています。地球温暖化の原因である温室効果ガスの削減を目指すことで、干ばつを防ぐことが期待できます。

※パリ協定とは、2015年12月にフランスのパリで決められた気候変動問題に関する国際的な枠組のこと。地球の平均気温の上昇を2℃より低く保ち、1.5℃以内の抑える努力をすることを目標に掲げている。

干ばつの影響

干ばつ

異常気象によって降水量が減少すると、どのような影響があるのでしょうか?
ここからは、干ばつがおよぼす環境や社会への影響について解説します。

農作物が育ちにくくなる

干ばつにより農作物が育ちにくい状況が続くと、経済的損失が懸念されます。
さらに、農作物の収穫が減ると食品の価格が高騰し、私たちの生活を圧迫することにもつながりかねません。

農研機構の報告によると、2005年の穀物生産被害量と国別の生産者価格から見積もった過去27年間の総生産被害額が約1,660億ドルになると示しています。
日本でも干ばつの影響により生育の遅れや、育ちが悪い状態です。

例えば、農林水産省が発表している「野菜の生育状況及び価格見通し(令和5年11月)」では、11月時点でねぎの出荷数量は平年を下回っており、価格は平年を上回って推移する見込みとされています。

肉の生産量減少につながる

干ばつにより家畜の飼料が不足すると、育てることが難しくなり生産量の縮小を考える方が増えていきます。
農畜産業振興財団によると、家畜の飼料として使用される小麦や大麦などの生産量において、2018/2019年度は全体で2927万トンとされています。
飼料の大幅な減少により、2018年6月の肉牛牛飼養頭数は2320万頭(同1.7%減)と減少しており、今後はさらに減少する見込みです。

土地の乾燥が進む

長い間雨が降らず、土壌に植物が育たなくなるとますます干ばつが進んでしまいます。
風や雨によって土の表面が削られて、砂漠化につながります。
また、土の水分もカラカラに乾燥してしまい、落ち葉同士の摩擦熱などにより森林火災につながりやすくなるため注意が必要です。

きっかけは小さな火災でも、乾燥している環境下では大規模な山火事になりかねません。
バージニア大学の専門家によると、2023年8月に発生したハワイ・マウイ島の山火事の原因のひとつに干ばつの影響があると示しています。
異常な乾燥状態が続いたことで、干ばつが進み火災が起きやすい状況になったと推測されます。

管理栄養士が考える【地球のために私たちが今からできること】

地球

地球温暖化が干ばつの原因であるとわかりました。とはいえ、地球のために普段の生活でどのように意識していったら良いのか、わかりにくいですよね。
最後に、私たちが今からできる簡単なアクションについてご紹介します。

省エネを心がける

二酸化炭素の排出量が増えると、地球温暖化を進めてしまいます。今からすぐにできることとして、無駄な電気を使わないようにすることを意識しましょう。
小さな積み重ねでも、間接的な温暖化対策につながります。
おすすめの対策は以下のとおりです。

・電気をつけるのは自分がいる部屋だけにする
・待機電力をなくすために、使用していないものはコンセントから抜く
・エアコンの温度を上げすぎず、下げすぎない
(季節に応じて適温にする)

上記のポイントを普段から意識してみることも大切です。

宅急便の再配達を控える

宅急便は家にいながら荷物を受け取れるので便利ですが、再配達を依頼するのは控えましょう。
車で移動していた場合、何度も往復することで余分なエネルギーが必要になってしまいます。国土交通省によると、再配達で使用する車から排出されるCO2の量は年間で約42万トンとされています。
再配達を防ぐために、以下の対策を心がけましょう。

・指定した時間には自宅で待機する
・宅配ボックスや置き配を活用する
少し意識するだけで環境負荷が減らせて、温暖化対策になります。

環境に優しいものを使う

日常生活で何気なく使っているものでも、環境に負担をかけている可能性があります。
軽くて丈夫なプラスチック製品もそのひとつです。容器や梱包材料など、さまざまな場所で使用されています。
プラスチックの原料は主に石油や天然ガスが使用されています。生産するには資源が使われますが、処分するために燃やせば二酸化炭素の排出量が増加することになるため、以下の対策がおすすめです。

・マイ箸やマイストローを使う
・レジ袋は使わず、エコバックを活用する
・ペットボトルからマイボトルに変更する
すぐに取り組めることばかりなので、身近なことから試していきましょう。

食生活を見直す

食生活を見直すことも重要です。例えば、世界の温室効果ガスの排出量の1/4は食品と農業に関連しています。
農業のための土地の3/4は家畜に使用されているとの報告もあります。
世界の居住できる土地の半分は農業のために使われている状況であり、新たに家畜の飼育を始めるためには森林伐採により土地を確保しなければなりません。

また、牛肉1kgを生産するには、大豆1kgを生産する土地の約90倍の面積が必要です。大量の飼料(穀物など)や水も確保しなければならず、地球温暖化を助長することにつながりかねません。
1kgのとうもろこしを栽培するには、1,800リットルの水が必要です。牛の飲料水のほかにとうもろこしの栽培に使われる水も合わせると、牛肉の生産には約2万倍もの水が必要となり環境負荷が懸念されます。
そのため、肉の消費を減らすことが地球環境にも良い影響をおよぼす可能性があります。

とはいえ、ヴィーガンのような完全菜食主義になるには、ハードルが高いと思う方もいるでしょう。
今まで食べていた肉料理を急に止めると、ストレスも溜まりやすくなってしまいます。
まずは、ときには肉や魚も食べるフレキシタリアンを目指してみるのも良いかもしれません。
ゆるベジタリアンと呼ばれるフレキシタリアンであれば、自分の都合に合わせて食べ物を調整できます。

フレキシタリアンは、地球に優しい生活を心がけたいけれど、日常生活をあまり変えたくない方におすすめです。無理なく続けたい方は、ぜひフレキシタリアンを選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

まとめ

地球温暖化は、干ばつの原因のひとつです。
干ばつによる影響として農作物の生育不良や、肉の生産量減少、土地の乾燥などが懸念されます。

そのため、電気の無駄遣いを止めたり、宅急便の再配達を控えたり、プラスチック製のものを使わないようにするなど、地球温暖化を防ぐアクションを取り入れることをおすすめします。

また、肉の消費量を減らすことも地球温暖化を防ぐのに有効なため、フレキシタリアンを目指すなど身近で実践できることから始めてみてはいかがでしょうか?

【出典】
出典:「熱帯アジア域の干ばつ・森林火災・火災由来CO2・PM2.5排出量に過去と未来の温暖化が与える影響について」(国立環境研究所)
https://cger.nies.go.jp/cgernews/202007/355005.html
「(研究成果) 干ばつによる世界の穀物生産被害をマップ化」(農研機構)
https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/niaes/131199.html
「野菜の生育状況及び価格見通し(令和5年11月)について」(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/engei/231031.html

【参考記事】

https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_developm
ent/climate_change_un/climate_change_effects/
https://ourworldindata.org/environmental-impacts-of-food
https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_000509.html

https://gendai.media/articles/-/109307?page=4

https://benesse.jp/sdgs/article22.html
https://cger.nies.go.jp/cgernews/202007/355005.html
https://www.asahi.com/sdgs/article/14767158#:~:text=%E3%83%91%E3%83%AA%E5%8D%94%E5%AE%9A%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%80%8C%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE,%E3%81%8C%E6%8E%B2%E3%81%92%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/niaes/131199.html
https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/engei/231031.html
https://www.ytv.co.jp/miyaneya/article/page_n6gs7yl1z1dhg594.html
https://www.bosai.yomiuri.co.jp/article/6771#:~:text=%E3%80%8C%E5%B9%B2%E3%81%B0%E3%81%A4%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E9%95%B7%E6%9C%9F,%E9%9B%A8%E3%81%8C%E5%A4%9A%E3%81%84%E5%9B%BD%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
https://www.mlit.go.jp/common/001217517.pdf

https://ourworldindata.org/environmental-impacts-of-food?insight=food-plays-a-large-role-in-many-environmental-impacts#key-insights-on-the-environmental-impacts-of-food

https://www.asahi.com/sdgs/article/14608180
https://benesse.jp/sdgs/article22.html