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2024.02.07

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【人口増加による食糧問題】肉食を減らしてヴィーガンが増えればその問題は解決できる?

人口の増加と共に迫る食糧の危機は、世界中で深刻な問題です。
地球上で暮らす人々が増加する一方で、資源の有限性が背後に潜む中、十分な食料を確保することはますます難しくなっています。

飢餓は今や特定の地域だけでなく、世界中で数億人に影響を及ぼしています。
持続的な開発の観点からも、私たちはこの問題に真剣に取り組まねばなりません。
飢餓に苦しむ人々が健康な生活を送り、将来の世代に希望をもたらすためには、新たなアプローチが求められています。
その一つの選択肢として今、注目を集めているのがヴィーガンやベジタリアン(フレキシタリアン)などの食事スタイルです。
今回は、ベジタリアンアスリートの池野さんに、人口増加による食糧問題が肉食を減らしすことで解決できるのかを考察いただきます。

ライター池野さんについては下記のプロフィールをご覧ください。

飢餓はどれくらい問題になっているのか?

飢餓は現代社会が直面する最も深刻な課題の一つであり、その影響は世界中で広がっています。
数億人が日々、十分な栄養を摂取できない状況にあり、この問題は社会的、経済的な側面からの影響も大きいです。

1. 飢餓の実態

飢餓の問題は単なる特定の地域だけでなく、世界中に広がっています。
ユニセフ(国連児童基金)、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連世界食糧計画(国連WFP)、世界保健機関(WHO)が共同で発表した2022年版の『世界の食料安全保障と栄養の現状(原題:The State of Food Security and Nutrition in the World)』報告書によると、現在も約80億人の人口のうちおよそ8億2,800万人が飢餓に苦しんでいます。
これはおおよそ10人に1人が日々食糧不足に悩まされているということです。

2. 飢餓の原因

飢餓の原因は多岐にわたりますが、主な要因の一つは不均衡な資源配分と経済的な格差です。
一部の地域では食糧が過剰に生産されている一方で、他の地域では基本的な食料ですら不足しているという現象が見られます。
また、気候変動や自然災害による影響も飢餓を悪化させています。

3. 飢餓と健康への影響

飢餓は単なる空腹だけの問題ではありません。飢餓は健康にも深刻な影響を及ぼします。
十分な栄養が摂れないことで、免疫力が低下し、感染症や栄養失調が横行します。
また、他に及ぼす影響としては、消化器系、心血管系、呼吸器系、生殖器系、神経系、筋肉、血液などです。
特に子どもたちは成長に必要な栄養を摂取できないため、身体や脳の発達に悪影響を受けやすいです。

4. 飢餓の連鎖

飢餓は貧困とも密接に結びついています。
十分な食糧を得られないことは、就学や仕事の機会を奪い、家族やコミュニティ全体が抜本的な困難に直面する原因です。
この連鎖を断ち切るためには、飢餓問題に対する包括的で持続可能なアプローチが求められます。

5. 国際社会の取り組み

国際社会は飢餓問題に対処するため、様々な組織やプロジェクトを通じて協力しています。
国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)では、2030年までに飢餓を根絶し、食料安全保障を実現することが目標です。
しかし、依然としてその達成には多くの課題が残されています。

飢餓の問題は複雑で根深いものであり、解決には国際的な協力と効果的な政策の実施が欠かせません。これまで以上に包括的で持続可能なアクションが求められています。

ヴィーガンやベジタリアン(フレキシタリアン)食は飢餓を救えるのか?

ベジタリアン食

厳しい食糧危機や飢餓問題に対する新たなアプローチとして、ヴィーガンやベジタリアン(フレキシタリアン)食などが注目されています。
植物ベースの食事スタイルは環境に与えるポジティブな影響です。
実は、これには科学的なエビデンスと数値的なデータが存在します。

1. 農地の使用量の削減

ヴィーガン食は、肉食に比べて農地の使用効率が優れています。
畜産業に使われる広大な農地が、大規模な飼育や養殖に必要なためです。

植物を中心とするヴィーガン食に移行することで、このような広大な農地の使用が減少し、土地の持続可能な利用が促進されます。
家畜を育てるためには、牧草地や飼料となる穀物の畑など、多くの土地が必要です。
しかも、2050年には世界の人口が97億人になると予測されており、2010年時に比べ1.7倍の食糧の確保が必要です。

2. 水とエネルギーの節約

肉生産は大量の水とエネルギーを必要とし、その製造工程は環境に負荷をかけます。
一方で、ヴィーガン食は水やエネルギーの使用を最小限に抑えます。
穀物や豆類の生産において必要な水は肉の生産に比べてはるかに少ない水の量です。

例えば、牛肉1kg分を生産するには、水が約20600リットル必要です。
一方、大豆1kg分を栽培するために必要な水は、約2500リットルで済みます。
牛肉1kgを生産するには、大豆の8倍以上の水が必要な計算です。

3. 温室効果ガスの低減

畜産業は大気中に温室効果ガスを放出し、気候変動に寄与しています。
ヴィーガン食への移行により、畜産業に伴う温室効果ガスの排出が低減されます。これは地球温暖化の抑制に寄与し、環境への負荷を減らす要因です。

動物性タンパク質1Kcalを生産するのに必要な化石燃料の量は、穀物タンパク質1Kcalを生産するのに必要な化石燃料の量の約11倍です。
ヴィーガン食に移行することは、化石燃料の削減に繋がります。
すなわち、温室効果ガスの一つである二酸化炭素の排出の削減に繋がるということです。

また、温室効果ガスは二酸化炭素だけではありません。
動物の糞尿や牛のゲップなどに含まれるメタンガスは二酸化炭素の25倍もの温室効果があるとされています。

国連によると、二酸化炭素の約300倍の温室効果があるとされる亜酸化窒素は、食肉、卵、乳製品産業で世界の65%を占めているとされています。
オックスフォード大学の研究結果によると、肉食者はベジタリアンの約2倍、ヴィーガンの約2.5倍の温室効果ガスを1日に排出していることが明らかです。

まとめ

食糧問題と人口増加の課題に立ち向かうためには、個人と社会全体が協力し、新しい食の在り方を模索することが不可欠です。
ヴィーガン食が提供する解決策は一つの道であり、これを取り入れることで持続可能な未来への扉が開かれるかもしれません。
私たちが今、地球と人々の未来を考え、行動に移すことが、新たな希望を生む手助けとなることでしょう。

■参考文献
https://www.unicef.or.jp/news/2022/0136.html
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/multimedia/table/%E9%A3%A2%E9%A4%93%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E4%BD%93%E3%81%AB%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%8B
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_zyukyu_mitosi/attach/pdf/index-12.pdf
https://happy-quinoa.com/livestock-impact