地球温暖化が進む中、私たちは日常の中でできる貢献を考えざるを得ません。
人々が地球環境への貢献を考える中で、ヴィーガンやベジタリアンの生活スタイルが注目を集めています。
なぜなら、これらの食生活が地球温暖化と密接に関連しており、持続可能な未来を築くための一翼を担っているからです。
今回は、ベジタリアンアスリートの池野さんに、ヴィーガンやベジタリアンが温暖化する地球を救う2つの理由に焦点を当て、その背後にあるメカニズムを探っていただきます。
ライター池野さんについては下記のプロフィールをご覧ください。
【ヴィーガンやベジタリアンが温暖化する地球を救う理由①】ヴィーガンと畜産の関係
畜産業は地球温暖化の主要な原因の一つです。
肉や乳製品の生産には大規模な牧場が必要であり、これが進むことで森林伐採が引き起こされます。
特にアマゾンなどの熱帯雨林では、畜産業のために広大な土地が開発され、豊かな生態系が失われています。
それだけではありません。畜産動物の排泄物はメタンガスを発生させます。
メタンガスは二酸化炭素よりも温室効果ガスとしてはるかに強力で、大気中に放出されることで地球温暖化に寄与しています。
国連食糧農業機関(FAO)の2013年報告によると、畜産業による温室効果ガスは総量の約14%です。
畜産と温室効果ガスの関係①森林伐採の影響
畜産業が拡大するためには大規模な牧場が必要です。これが原因で世界中で森林が伐採されています。
ブラジルのアマゾン地域では、牛の放牧地拡大のために広大な森林が失われ、多くの動植物の生息地が壊滅的な影響を受けています。
畜産と温室効果ガスの関係②メタンガス排出
畜産動物の腸内で発生するのがメタンガスです。メタンガスは大気中に放出され、温室効果ガスとして機能します。
特に牛の腸内で発生するメタンはその量が膨大です。これが地球温暖化に与える影響は小さくありません。
畜産業によるメタンガス排出は、二酸化炭素の排出量に次いで大きな割合を占めています。
畜産と温室効果ガスの関係③水資源の浪費
牛の飼料や畜産プロセスに伴う水の使用が非常に多いため、水資源の浪費が生じます。
例えば、1kgの牛肉を生産するためには、約15,600リットルの水が必要です。
この水の浪費が環境への負荷を増加させています。
畜産と温室効果ガスの関係④ヴィーガンの食事と環境へのポジティブな影響
ヴィーガンの食事はこれらの問題に対抗する手段として注目されています。植物ベースの食品は畜産業に比べて生産コストが低く、農地の使用効率も高いです。
以下に、ヴィーガンのライフスタイルが地球環境に与えるポジティブな影響を示します。
畜産と温室効果ガスの関係⑤農地の使用効率
穀物や野菜などの植物ベースの食品は、同じ面積の土地でより多くの食糧を生産できます。
畜産業に比べて農地の使用効率が高いため、ヴィーガンの食事はより持続可能です。
世界中で、森林伐採による土地開発が進んでおり、これは主に家畜の放牧地確保や飼料の生産を目的としています。
現在、地球の陸地の26%が家畜の放牧地として利用されています。
さらに驚くべきことに、世界の農地の大部分が家畜の飼料生産に充てられ、その割合は75〜80%です。
畜産と温室効果ガスの関係⑥水とエネルギーの節約
植物ベースの食品の生産には畜産業に比べて水とエネルギーが少なくかかります。
ヴィーガンの食事はこれにより水資源の節約とエネルギーの削減に寄与します。
水は、畜産業および農業の一環として、直接家畜に与えられるだけでなく、飼料となる穀物の育成にも必要です。
現在、世界の水使用量の約7割は畜産業を含む農業に充てられていると言われています。
例えば、牛肉1kgを生産するには約15,600リットルの水が必要です。
対照的に、大豆1kgを栽培するために必要な水は約2,500リットルです。
この比較からも明らかなように、牛肉1kgを生産するには大豆の6倍以上の水が必要とされています。
畜産と温室効果ガスの関係⑦温室効果ガス排出の低減
畜産業に比べて植物ベースの食事は温室効果ガスの排出が少ないため、ヴィーガンのライフスタイルは地球温暖化に対して積極的な解決策の一つです。
石油やガソリンなどの化石燃料を燃やすことによって、二酸化炭素が大気に放出されます。
動物性タンパク質1カロリーを生産する際に必要な化石燃料の量は、穀物タンパク質1カロリーを生産するのに必要な量の約11倍となり、これによって大量の二酸化炭素が排出されます。
研究者たちは、「気候的に効率的」と認識され、環境に優しいとされる植物性タンパク質の生産が、動物性のタンパク質よりも好ましいとの見解です。
畜産と温室効果ガスの関係⑧バイオ多様性の保護
畜産業のための土地開発が減少することで、野生動植物の生息地が守られ、バイオ多様性が維持されます。
【ヴィーガンやベジタリアンが温暖化する地球を救う理由②】ヴィーガンと農業の関係
畜産業だけでなく、慣行的な農業も地球環境に多大な影響を与えています。過度な農薬や化学肥料の使用は土壌や水質の悪化を招き、生態系への負担も増大です。
この点で、ヴィーガンの食事は持続可能な農業の普及を奨励し、地球環境の保全に寄与します。
慣行農業の問題点①農薬と化学肥料の使用
慣行農業では、高収量を追求するために農薬や化学肥料が頻繁に使用されます。
これにより、土壌中の微生物や水中の生態系が影響を受け、環境への悪影響も大きいです。
慣行農業の問題点②モノカルチャーの増加
単一の作物を大規模に生産するモノカルチャー農業は、生態系の多様性を減少させます。
これが進むと、害虫や病気の拡散が容易になり、農薬の過剰使用が引き起こされます。
慣行農業の問題点③土壌の劣化
過度な農業活動により、土壌が養分を失い、劣化が進み、これが進むと、農地の再生が難しくなり、持続的な食料生産が脅かされます。
ヴィーガン食と持続可能な農業の促進①有機栽培の奨励
ヴィーガンの食事は有機栽培を奨励し、農薬や化学肥料の使用は最小限です。
有機栽培は土壌を保護し、生態系に負担をかけない持続可能な農業の一環です。
ヴィーガン食と持続可能な農業の促進②農業循環システムの採用
ヴィーガンは農業循環システムを支持し、資源の有効活用を推進します。
例えば、動植物の糞尿を肥料として再利用することで、化学肥料の使用が減少し、土壌の健全性が維持されます。
ヴィーガン食と持続可能な農業の促進③多様な農業手法の採用
ヴィーガンの食事は多様な農業手法を採用する傾向です。
複数の作物を同時に育てる多作型農業が進むことで、モノカルチャー農業の弊害が軽減され、生態系が保全されます。
まとめ
ヴィーガンやベジタリアンのライフスタイルが地球温暖化の緩和に寄与するのは、畜産業や伝統的な農業に伴う環境負荷の低減に起因しています。
植物ベースの食事は、地球の未来を考える上で具体的で実現可能な選択です。
これからの時代において、私たち一人ひとりの食事選択が地球環境に与える影響を理解し、積極的な変化を促進していくことが求められています。
ヴィーガンやベジタリアン(フレキシタリアン)の選択は、地球への優しさと共に、新しい未来への道を切り開く鍵と言えるでしょう。
【参考文献】
https://www.tokyo-np.co.jp/article/45380
https://www.naro.go.jp/laboratory/nilgs/enteric_methane/index.html
https://happy-quinoa.com/livestock-impact#google_vignette
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