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2023.09.20

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WWFが推奨する「リブウェル・ダイエット」【ネット・ゼロ実現に向けて見直すべき食とは?】

世界の平均気温が2023年8月3日に17.01℃に達し、観測史上最高を記録しました。
2023年7月27日には、国連のニグテーレス事務総長が記者会見で「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代に入った」と発言したことは記憶に新しいのではないでしょうか?

気候変動における対策はもはや企業だけでは抑えられず、個々人が環境のためにできることに取り組む必要性が高くなってきました。
WWF(世界自然保護基金)は、2023年5月の報告書の中で、健康にも地球にも優しい経済的な「リブウェル・ダイエット」と呼ばれる食事法を提唱しています。

この記事では、「リブウェル・ダイエット」について紹介し、私たちがどのような食事をとり、どこでどんな食材を購入すれば地球環境保全につなげることができるのかを解説します。
今回コラムの執筆を担当するのは、エシカルフードの芦野です。
地球環境に良く、取り組みやすいアクションがわかりますので、ぜひ最後までお読んでみてください。

WWF(世界自然保護基金)が推奨!「リブウェル・ダイエット」とは?

「リブウェル・ダイエット」は、ネット・ゼロ*実現のために肉類・乳製品・卵を適度に減らし、魚介類と野菜中心の食事を摂取することで、健康的で尚且つ、環境保護の観点からも持続可能な食生活を実現することが目的の食事法です。

(*「ネット・ゼロ」とは、温室効果ガスの排出量と吸収量のバランスをとり、正味の排出量をゼロにすること)

日本でも食の欧米化によって生活習慣病の発症リスクが増加し、肥満や糖尿病などの健康問題が懸念されている昨今、普段から炭水化物・脂質を多く摂取する人は、ぜひ参考にしたい食事法だと言えます。

「リブウェル・ダイエット」で推奨されている食材

割合図

①:全粒粉穀物、②:乾燥豆、③:動物性タンパク質、④:果物、⑤:脂肪・糖質が多い食品
(出典:WWF「EATING FOR NET ZERO」)

一般的なイギリス人の食事と「リブウェル・ダイエット」が推奨する食事は下記の通りです。

【通常より多く摂取するもの】
・果物や野菜は45% 多く食べる(糖分が含まれるフルーツジュースやスムージーは49%減らす)
イギリス人の平均的な食物繊維の摂取量は、英国で推奨されている1日30gを下回っています。
ちなみに日本では、男性20g、女性18g以上が推奨されています。

果物と野菜は食物繊維の宝庫であり、消化を良くし血圧を下げ、脳卒中や心臓病、糖尿病のリスクを減らすなど、健康面で大きなメリットがあります。

▪豆類(乾燥豆、レンズ豆、ひよこ豆など)は50%近く多く食べる
イギリスでは一般的に豆類の摂取量は1人1日当たり25g以下です。
「リブウェル・ダイエット」では、特にえんどう豆の消費を推奨しており、えんどう豆の生産は牛肉の生産に比べて気候への影響が平均して36倍少なく、自然保護に貢献することができるとWWFの報告書には記載されています。

・魚介類は、83%多く食べる
魚介類には、ビタミンや必須ミネラルなどの栄養素、高度不飽和脂肪酸などの機能性成分などが多く含まれています。
「リブウェル・ダイエット」では、週に2食の魚介類の摂取を推奨しており、特にムール貝や小型魚介類の摂取を提案しています。

宮城県の農林水産部の研究では、同じ1 tを漁獲する場合でも、マグロやカツオを漁獲する場合に比べ、いわし類などの小型魚を漁獲したときの方が燃料消費量やCO2排出が少ないことが示されています。
つまり、私たちは消費者として大型の魚を選ぶよりも、小型魚介類を選ぶことで地球環境に配慮した行動をとることが可能です。
また、環境への影響を最小限に抑えた養殖場で育てられた魚介類を選ぶことも重要です。
海を守るための「エコラベル」は魚介類を購入する際の目印になります。

・精製された白い穀物ではなく、全粒穀物を35%多く食べる
全粒穀物は精製された穀物よりも栄養価が高く、健康状態を改善し、私たちが積極的に消費することで資源を栄養価の高い食品の生産にのみに活用することができます。
脂肪、塩分、糖分の多い食品を減らし、植物性食品を多く食べることは、より健康的であり、心臓病などの非感染性疾患を減らします。

【通常より量を減らすもの】
・肉類は69%、乳製品は25%、卵は32%減らす
「リブウェル・ダイエット」では大腸癌のリスクを減らすために、赤身肉と加工肉を1日90g以上食べている人は、1日70gまで減らすことを推奨しています。

国際がん研究機関によると、毎日継続して赤身肉と加工肉を1日当たり50グラム摂取するごとに、大腸がんのリスクが18%増加すると警告しています。日本において大腸がんは男女ともに2番目に多いがんなので肉類の摂取に気を付けた方が良いでしょう。
また、家畜から排出される温室効果ガスは、世界の温室効果ガスの約14%を占め、すべての乗り物から排出される温室効果ガスの総量に匹敵すると言われ、環境問題の側面からも肉類・乳製品・卵を控えることで地球環境を保全することにつなげることができます。

英国栄養士会の「One Blue Dot」には、動物性タンパク質の摂取を減らしても、1日に必要なたんぱく質はえんどう豆などの植物性たんぱく質を摂取することで、十分に満たすことができると明記されています。
WWFの報告書によると、一般的なイギリス人の食生活と比較すると「リブウェル・ダイエット」は温室効果ガスの排出量を36%削減し、生物多様性の損失を20%削減することが可能だと発表しています。

イギリス人の一般的な食生活が、1人あたり1日あたり4.8キログラムの二酸化炭素を排出していると推定されていますが、「リブウェル・ダイエット」は、この数字を1日あたり3.1キログラムに減らすことが可能です。

2022年、温室効果ガスの排出量が過去最高値を記録

気温変動のグラフ

細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均値、直線(赤):長期変化傾向。(基準値は1991〜2020年の30年平均値。)
(出典:気象庁「世界の年平均気温偏差の経年変化」)

温室効果ガスの排出量は、2014年度以降減少していましたが、コロナ以降、経済活動の回復によりリバウンド傾向にあります。2022年時点の世界の温室効果ガス排出量は、年間約368億トンと過去最高値を記録しました。気候変動対策は世界の国民全員が意識すべき問題です。

世界の平均気温は産業革命前に比べて既に1.1℃上昇しており、このままでは2030年代に1.5℃の上昇幅に達する可能性が高いと言われています。
国連によれば、地球温暖化を摂氏1.5℃以下に抑えるためには、温室効果ガスの排出量を2030年までに45%削減し、2050年までに「ネット・ゼロ」にしなければならないと警笛を鳴らしています。

国別の温室効果ガス排出量では、多い順に中国、アメリカ、インド、ロシアと続いて日本は5番目に排出量が多い国です。
先進国は率先してネットゼロ実現に向けてアクションを起こす義務があると言えるでしょう。

「リブウェル・ダイエット」から学び行動できること

食事

「リブウェル・ダイエット」は健康的で持続可能な食生活への変化を推奨した環境にも身体にも優しい経済的な食事方法の一つです。
普段から肉類・乳製品・卵を多くとる人は、自身の健康面・環境面から「リブウェル・ダイエット」に習い、実践できることから始めましょう。

「リブウェル・ダイエット」の特徴をまとめると下記の通りです。

▪野菜、果物、豆類など植物性食品を中心に、魚介類は小型のもので環境に配慮された養殖場のものを選ぶ
▪穀物は栄養価の高い全粒穀物を選ぶ
▪肉類、乳製品、卵は最低限に控え、良質なタンパク質を摂取する
▪フェアトレード食品や食品ロスを減らすアップサイクル食品などのエシカル食品を選択する

地球沸騰化の時代に入った昨今、1人1人が環境保全に対する意識を高め、自分たちの未来を守るためにアクションを起こすべきではないでしょうか?
あなたの健康と地球の健康が密接につながっていると考えると、環境に配慮した食品を選ぶことがもっと身近になると思います。
特別なアクションを起こす必要はなく、一日一食でも「リブウェル・ダイエット」で推奨されている食事法に置き換えるだけでも救われる命があり、環境を保全することができます。

この記事が小さな取り組みを広げ、地球環境に貢献するアクションの第一歩になれば嬉しいです。

エシカルフードのプラントベースフード

私たち、エシカルフード株式会社は「食生活が、地球環境を守る」をテーマに、肉食を控える食生活~Meatless Diet(ミートレスダイエット)~という、新しいライフスタイル・価値観を提唱するために、2021年6月に発足しました。

地球にも、身体にも、動物にも優しいプラントベースドフード」の企画開発・販売と“Meatless Diet”のための有益な情報発信を通じて、あなたの健康と地球環境を守りたいと考えています。

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