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2024.05.07

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プラントベースの食生活はつらくない!健康維持と環境保護のための食習慣を管理栄養士が解説

プラントベースの食生活は健康に良いと聞くものの、実際はどうなのか気になる方は少なくありません。
なかには肉や魚が食べられず制限ばかりで、つらいイメージをもたれている方もいるのではないでしょうか?

今回は管理栄養士の下田さんにプラントベースの食生活について詳しく解説していただきます。
管理栄養士の下田さんについては下記のプロフィールをご覧ください。

プラントベース食品を取り入れるときによくある誤解についても、ぜひ本記事を参考にしてみてくださいね。

プラントベースとは?

プラントベースとはPlant(植物)とBased(由来)の造語であり、大豆製品や野菜などの植物性食品を積極的に取り入れる考え方や食生活のことです。
完全菜食主義のヴィーガンのように動物由来の食品を一切摂らないスタイルとは異なります。

自由に食品を選べるため、食事を選ぶ際のストレスが軽減できるでしょう。

プラントベース食品の特徴

プラントベース食品はほとんど植物由来の原材料で作られているのが特徴で、基本的に動物由来の原材料は使用しません。
植物由来の原材料を使用して、肉や魚などに似せて作られていることがポイントです。
肉、卵、ミルク、バター、チーズなどの動物性食品の代替品として販売されています。

また、大豆ミートを使ったハンバーグなどさまざまな加工食品がありますが、すべて植物由来の原材料を使っているものばかりではありません。
一部の原材料や食品添加物に、動物由来のものが含まれているものなどもあります。

出典:「プラントベース食品って何?」(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/notice/other/plant_based/assets/representation_cms201_210820_01.pdf

プラントベースな食生活は健康維持につながる

健康的な女性

プラントベースな食生活を取り入れると、健康維持に役立ちます。
例えば、肉などの動物性食品は良質なたんぱく質源になる反面、食べ過ぎると飽和脂肪酸が増え、血液中のLDLコレステロールが増えやすくなるといわれています。

LDLコレステロールが体内に増えると、循環器疾患(心疾患や脳血管疾患など)のリスクを高めてしまうおそれがあるため注意が必要です。
そこで、普段から肉類などの動物性食品を多く摂取する方は、植物性食品を中心のプラントベースな食生活を取り入れてみるのもおすすめです。

動物性たんぱく質の3%を植物性たんぱく質に置き換えると、死亡リスクが減少しやすくなることも報告されているため、プラントベースな食生活は健康的な食生活につながりやすいといえるでしょう。

出典:「肉やソーセージなどを食べ過ぎると健康リスクが上昇 植物性食品に置き換えるとリスクは減少」(保健指導リソースガイド)
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2022/010740.php
出典:「脂質やトランス脂肪酸が健康に与える影響」(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou

プラントベースな食生活のよくある誤解3選

プラントベース料理

プラントベースな食生活は健康に良さそうと好印象な方もいれば、食生活が変わることへの不安が増してしまう方もいます。
ここでは、プラントベースな食生活のよくある誤解について紹介します。

【プラントベースな食生活への誤解①】制限ばかりの食生活がつらい

プラントベースな食生活を始めると、食べられないストレスが増してしまうのではないかと心配される方がいます。
プラントベースな食生活を意識すると、今までの食事内容を変更する必要がでてくるかもしれません。

とはいえ、現在は大豆ミートや植物性ミルク、植物性食品のみで作ったレトルト食品など、さまざまなプラントベース食品が購入できます。
好みに合わせて選べるうえに、調理法によっては新しい発見があるかもしれません。

普段何気なく肉食中心の食生活をしていた方は、一度プラントベースな食生活を体験してみてはいかがでしょうか? エシカルフードでも大豆ミートを使用したレシピを公開しているので、ぜひ参考にしてみてください。

【プラントベースな食生活への誤解②】十分な栄養が補えない

プラントベースな食生活を続けていると、栄養不足になるのではないかと懸念される方もいます。
肉などの動物性食品に比べて、大豆などの植物性食品の方がたんぱく質の含有量は少ないですが、さまざまな食材を組み合わせることでたんぱく質は補えます。
豆乳や豆腐、枝豆やナッツ類からもたんぱく質を摂取できるので、上手に取り入れましょう。

また、筋肉が落ちてしまうのではないかと不安な方もいますが、植物性食品中心でも筋肉量は維持できます。
世界で活躍するトップアスリートのなかには、ノバク・ジョコビッチ選手などのヴィーガンアスリートもいるからです。

このように植物性食品中心の食生活でも、しっかりと栄養を補うことは可能です。

【プラントベースな食生活への誤解③】お腹が空きやすくなる

プラントベースな食生活だとお腹が空きそうと思われる方もいるでしょう。
とはいえ、プラントベース食品には食物繊維を豊富に含むものが多いため、腹持ちが良く満足感を得やすい特徴があります。
また、満腹感を得やすくなるほか、食物繊維の摂取量を増やすことも期待できます。

日本人の平均食物繊維摂取量は、1950年頃には一人あたり20g/日を超えていたものの、現在では減少傾向です。
令和元年の国民・健康栄養調査の報告によると、20~40代の食物繊維の平均摂取量は17.0g前後でした。

日本人の食事摂取基準(2020年版)では、1日あたりの食物繊維の目標量は18~64歳で男性21g以上、女性18g以上となっているため若干少なめです。 プラントベースな食生活を取り入れることで、自然と食物繊維の摂取量が増えるでしょう。

出典:「食物繊維の必要性と健康」(厚生労働省e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
出典:「日本食事摂取基準(2020年版」」p.165(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
出典:「令和元年 国民健康・栄養調査」p.37(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

プラントベースな食生活を無理なく続けるコツ

プラントベースな食生活で健康を維持するために、栄養が偏らないように注意しましょう。
動物性たんぱく質に含まれるアミノ酸やビタミンB12などの栄養素は、植物性食品だけでは補いきれません。

ヴィーガンのような完全菜食主義ではなく、フレキシタリアンを取り入れるのもおすすめです。
フレキシタリアンとはゆるベジタリアンといわれていて、植物性食品を中心の食生活でありながらときどき肉や魚などの動物性食品も取り入れるスタイルです。
週に〇日は動物性食品を控えるなど、自分なりにルールを決めて取り組めるので、無理なく続けられるのがメリットです。

外食時は肉を食べてもOKとマイルールを決めておくと、友達と外食へ行ったときでも食事を楽しめるでしょう。

プラントベースは環境にも優しい

プラントベースな食生活を続けることは、健康だけでなく地球環境にも良い影響をおよぼします。

畜産は生物の多様性に影響を与える温室効果ガスを多く排出します。
畜産を育てるための広大な土地の確保や流通、配達にかかる燃料、廃棄物処理などを考えなければなりません。
家畜の生産に必要な飼料も栽培する土地や運搬などが必要となるため、環境に負荷がかかっています。

牛肉や豚肉、鶏肉の生産に必要な飼料(とうもろこしなど)の量は以下の通りです。
・牛肉1kgの場合、必要な飼料の量は11kg
・豚肉1kgの場合、必要な飼料の量は6kg
・鶏肉1kgの場合、必要な飼料の量は4kg

上記の数値を面積に置き換えると広大な農地が必要です。
日本の国土面積は3,780万haであり、そのうち7割弱が森林、残りの面積は農地や工業用地、住宅地などが占めています。
令和2年の農地面積は437万haであり、国土面積の約1割にすぎません。

家畜のエサとして輸入飼料を使用しているため、海外の農地を多く使用していることになります。
プラントベースな食生活を心がけ、肉などの動物性食品を控えることで、結果的に環境に優しい取り組みにつながります。
また家畜の命を尊重することにもなり、動物保護にも貢献できるでしょう。

出典:「その4:お肉の自給率」(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/ohanasi01/01-04.html

まとめ

プラントベースな食生活を継続すると、健康を維持しやすくなります。

肉などの動物性食品の摂取量を抑えることで、飽和脂肪酸が減りLDLコレステロールの低下につながるといわれています。

完全菜食主義は難しいと考えている方でも、肉や魚を取り入れる柔軟なプラントベースの食生活を心がければ、無理なく続けることができるでしょう。

【参考記事】
「プラントベース食品って何?」(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/notice/other/plant_based/assets/representation_cms201_210820_01.pdf
「肉やソーセージなどを食べ過ぎると健康リスクが上昇 植物性食品に置き換えるとリスクは減少」(保健指導リソースガイド)
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2022/010740.php
「脂質やトランス脂肪酸が健康に与える影響」(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou
「食物繊維の必要性と健康」(厚生労働省e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%81%AE%E6%91%82%E5%8F%96%E9%87%8F,%E3%81%A8%E6%8E%A8%E5%AE%9A%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
「日本食事摂取基準(2020年版」」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
「令和元年 国民健康・栄養調査」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf
「その4:お肉の自給率」(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/ohanasi01/01-04.html