近年、小麦粉の価格高騰により米粉ブームが再燃しています。
その背景には、世界情勢の影響による原材料の高騰が考えられます。
このままのペースで食品の値段が上がり続けると、家計への負担が心配という方もいるのではないでしょうか?
家計の負担を減らすために、買い物へ行く回数を調整したり、料理の品数を減らしたりするなどの対策を考える方もいるでしょう。
とはいえ、節約し過ぎて健康を損ねてしまうと、生活の質が低下してしまいます。
そこで今回は、価格高騰を賢く乗り切るためのコツとして、管理栄養士の下田さんに米粉の活用法についてご紹介していただきます。
管理栄養士の下田さんについては下記のプロフィールをご覧ください。
米粉ブーム到来の背景
米粉とは、米を粉状にしたもののことです。
団子やせんべいなど、身近な食品の材料として使用されています。まずは、米粉が注目される理由を解説します。
小麦粉の価格高騰
近年、世界情勢の影響から原油価格が高騰し、輸送費がかさむことで輸入品の値上げが顕著にみられています。
特に、国内自給率が低い小麦粉は海外からの輸入が多く、安定供給が難しい状況です。小麦粉に関しては、今後さらに値上げが進む可能性があるでしょう。
そこで小麦粉の代替品として、米粉が注目されています。
日本では小麦粉よりも米の生産量の方が多いため、代替品におすすめです。
健康志向の高まり
健康的な食生活を目指す方が増えたことで、米粉に注目が集まっています。
米粉は栄養価が高く、グルテンフリーに関心がある方にとっておすすめの食品です。
一方小麦粉には、たんぱく質の一種であるグルテンが含まれているため、体質によってはアレルギー源となる可能性があります。
米粉にはグルテンが含まれていないため、小麦粉の代替品として幅広く活用することができます。
管理栄養士が教える米粉のメリット5選
米粉にはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここからは、米粉のメリットを5つご紹介します。
効率良く栄養を補給できる
米粉は小麦粉よりもアミノ酸スコアが高い食品です。
アミノ酸スコアとは、タンパク質の質を評価する値であり、良質なタンパク質ほど100に近い数値を示します。
例えば、小麦粉のアミノ酸スコアは55です。
一方、米粉のアミノ酸スコアは88のため、小麦粉よりもアミノ酸スコアが高いことがわかります。
アミノ酸スコアが高いと、筋肉や髪、皮膚などの材料として有効活用することができます。
また、肉、魚、大豆製品、卵などの食材と組み合わせると、不足しているアミノ酸スコアが補えるので、意識して摂り入れるようにしましょう。
特定の食べ物に偏ることなく、さまざまな食材からバランス良く摂取することが大切です。
揚げ物のカロリーを抑えることができる
米粉は小麦粉よりも油の吸収率が低い特徴があります。
天ぷらや唐揚げなどの衣のある料理に使うと、油の吸収を抑えることができます。
油の摂取量を少なくできるため、健康が気になる方におすすめです。
米粉は粘り成分のグルテンを含んでいないことから、サクサクとした軽い食感に仕上がります。
小麦アレルギーがあっても安心して食べられる
米粉は小麦粉と同じような用途で使うことができるほか、小麦アレルギーの方に優しい食品です。
小麦アレルギーの方が小麦粉を使った食品を食べると、じんましんや下痢、腹痛、呼吸困難などの症状が生じるため注意が必要です。
小麦粉の代わりに米粉を使うと小麦アレルギーの原因物質を避けることができるため、安心して食べることができます。
パンやケーキの材料に米粉を使えば、食の幅を広げることもできるでしょう。
食糧自給率アップに貢献できる
日本の食糧自給率は、先進国の中でも低い水準です。
特に、米の消費量は年々減少傾向にあります。農林水産省の発表によると、令和3年度の食糧自給率は38%とされています。
米の食糧自給率が低い一方で、小麦のほとんどは輸入だよりです。
価格高騰にともない小麦粉が値上がりしているので、国内で生産されている米粉を選択肢のひとつに加えてみるのもおすすめです。
米粉を活用することで、食糧自給率アップにも貢献できます。
米の生産が盛んになると環境にも良い影響を与えられる
米の生産量と比例して水田の数も減少しています。
水田は自然のダムの役割もあり、雨が降り続くときは水を蓄えるはたらきがあります。
大雨による洪水を未然に防ぎやすくなるのも特徴のひとつです。
また、水田を守ることは生態系の維持にもつながります。
環境省の*レッドリストに挙げられている生物のなかには、水田や水路などにより維持されている二次的な自然を生息環境にしているものも多いからです。
そのため、水田の維持に努めることで生態系を守りやすくなるなど良い影響を与えます。
*レッドリストとは、絶滅の恐れがある野生生物のリストのこと
管理栄養士が教える米粉のデメリット
米粉のデメリットとして、米粉特有の食感や性質が挙げられます。
ここでは、米粉のデメリットについてみていきましょう。
調理後に食感が変わりやすい
米粉は小麦粉に比べて、時間が経つと固くなりやすい性質があります。
米粉ケーキなどは、出来たてはふんわりとしていておいしく食べられますが、時間が経つと重みが増してしまいます。
好みにもよりますが、すぐに食べない場合は冷凍保存しておきましょう。
食べるときは、常温で2~3時間ほど自然解凍します。
また米粉ケーキや米粉パンなどを温め直すときは、ふんわりとラップをかけてから500Wの電子レンジで20~30秒ほど加熱しましょう。
調理機器によって加熱時間が異なるため、様子を見ながら加熱時間を調整してください。
生地がまとまりにくい
米粉には生地をつなぐ役割があるグルテンがないため、バラバラになりやすい特徴があります。
つなぎが必要なときは、片栗粉を追加するとまとめやすくなります。
賢く節約!管理栄養士おすすめの米粉の活用法
ここからは、米粉の活用法についてご紹介します。
人気のある米粉料理や、米粉の食感が苦手な方におすすめの方法など、ぜひ参考にしてみてください。
子どもも大人も大満足!米粉を使った料理
米粉を使ったおすすめの料理は以下のとおりです。
・ケーキや蒸しパン:もっちりとした食感がクセになる
・クッキーやスコーン:サクッとした軽い食感が楽しめる
・お好み焼きやたこ焼き、チヂミ:もちもちの食感が楽しめるので代用しやすい。外はサクサク、中はもちもちになり、異なる食感が楽しめる
ポイント
小麦粉はふるって使う場合が多いですが、米粉は粒子が細かいためふるって使う必要はありません。そのまま使えるので調理の手間が省けます。
米粉の食感が苦手な場合
米粉のベタベタとした食感が苦手な方におすすめの活用法は、以下のとおりです。
・揚げ物の衣にする
・とろみをつける料理に使う揚げ物の衣に米粉を使うと、調理後にベタベタしにくいメリットがあります。米粉はグルテンを含まないため、油を吸収しにくく時間が経ってもサクッとした食感が楽しめます。
グラタンやシチューなど、とろみをつける料理に使うのもおすすめです。米粉を使うとダマになりにくく、滑らかに仕上がります。
節約ポイント
お肉の代わりに高野豆腐や大豆ミートを使って唐揚げを作ると、家計に優しい料理が作れます。
まとめ
世界情勢の影響などにより、食品の価格高騰が続いています。
小麦粉もほとんど輸入でまかなっているため、以前よりも価格が上昇しています。
そのため、食品の値上げ対策として小麦粉の代わりに米粉を使ってみるのもひとつの手です。米粉は油の吸収率が低いため、揚げ物の衣に使うとカロリーを抑えることができます。
また、小麦アレルギーの方の代替品としても活用できます。
米粉を活用することは、日本の食糧自給率アップや生態系の維持にもつながるため、この機会に使用してみてはいかがでしょうか?
【出典】
アミノ酸成分表(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/12/20/1365347_2-0201-1r11.pdf
日本の食糧自給率(農林水産省)https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/012.html#:~:text=1.%E4%BB%A4%E5%92%8C3%E5%B9%B4%E5%BA%A6,47%EF%BC%85%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82
【参考】
「自然環境・生物多様性」(環境省)
https://www.env.go.jp/nature/kisho/hozen/redlist/
エシカルフードのプラントベースフード
私たち、エシカルフード株式会社は「食生活が、地球環境を守る」をテーマに、肉食を控える食生活~Meatless Diet(ミートレスダイエット)~という、新しいライフスタイル・価値観を提唱するために、2021年6月に発足しました。
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