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2023.11.30

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世界のベジタリアンアスリートの食事|筋肉はどうやってつくる?栄養士が徹底解説!

ベジタリアンには世界で活躍するアスリートもいます。肉や魚を摂らなくても筋肉はつくれるのでしょうか?
今回は栄養士のかやのさんにベジタリアンアスリートの食事を学びながら、筋肉をつくるにはどのような食事・栄養を摂れば良いのかを考察いただきます。
栄養士かやのさんについては、下記プロフィールをご覧ください。

世界のベジタリアンアスリート

陸上のカール・ルイス選手、男子プロテニスプレイヤーのノバク・ジョコビッチ選手、女子プロテニスプレイヤーのセリーナ・ウィリアムズ選手。

上記で挙げた世界でもトップを誇るアスリート達の共通点は菜食主義であることです。
動物愛護、環境保護、自身の体質からなどベジタリアンになるきっかけは様々なものの、ベジタリアンアスリートの人口は増え続けています。
世界のトップを目指すためには毎日のトレーニングも大事ですが、徹底した食事管理も欠かせません。爆発的なエネルギー、そして筋肉をつくるために栄養バランスが取れたメニューを考える必要があります。

栄養士が解説!筋肉をつくるための食事メニューとは?

べジコロッケ

気になるベジタリアンアスリートの食事。
筋肉をつけるためにどのような食事をしているのでしょうか。ポイントは「タンパク質」の摂取です。

筋肉づくりに大切なタンパク質

筋肉をつくる食べ物として最初に思い浮かべるのは肉ですよね。良質なタンパク質が豊富に含まれており、すぐに吸収されてエネルギーになる点が特徴です。
しかし、タンパク質が多く含まれているのは肉だけではありません。
豆やナッツ類、野菜、穀物にも含まれています。

肉や魚、卵、乳製品などに含まれるタンパク質を「動物性タンパク質」と呼び、豆やナッツなどに含まれるタンパク質を「植物性タンパク質」と呼びます。
ベジタリアンアスリートは豆などから植物性タンパク質を摂取し、他にも様々な栄養素をバランス良く摂取することで筋肉をつくっているのです。

一般的な日本人のタンパク質摂取量は、18~64歳の男性は一日65g、65歳以上の男性は60g、18歳以上の女性は一日50gが推奨されています。
アスリートとなると競技によってつけるべき筋肉量や持久力が変わるので摂取量も変わってきますが、様々な植物性食品を組み合わせれば摂ることが可能な量です。

例えば、私たち日本人にも馴染みのある納豆には100g当たりに約7gタンパク質が含まれています。
納豆は体に必要な必須アミノ酸も満遍なく含まれているため、筋肉をつくる食品として適しています。

タンパク質以外に大事な栄養素

前項でお伝えしたように、筋肉をつくるために1番大切な栄養素はタンパク質です。
しかし、それだけでは強固な筋肉はつくれません。他にも重要な栄養素があります。

・ビタミンB12
・ビタミンD
・ビタミンC
・カルシウム
・鉄分

上記に挙げたように、筋肉をつくるにはビタミンやミネラルの摂取も重要です。
特に大切なのがビタミンB群です。糖質、タンパク質、脂質をスムーズに代謝するようにサポートする働きがあります。
中でもビタミンB12は主に動物性食品に含まれているので、ベジタリアンは欠乏しやすい栄養素です。
ビタミンB12が欠乏すると貧血になりやすくなります。
ベジタリアンの場合、サプリメントや栄養補助食品で意識的に補うことが必須です。

カルシウムや鉄分なども筋肉をつくる上で重要な栄養素です。
しかし、カルシウムと鉄分だけ摂取しても体内で上手に作用はされません。
カルシウムはビタミンD、鉄分はビタミンCも一緒に摂る必要があります。

このように、ベジタリアンアスリートは植物性タンパク質を中心に様々な栄養素を組み合わせながら筋肉をつくります。
もちろん、カロリーが低すぎてはエネルギーは枯渇してしまいます。
米やじゃがいもなどで糖質、ナッツやアボカド、良質な油などで脂質を摂取し、1日に必要なカロリーを補っているのです。

植物性タンパク質の重要性

べジバーガー

私たちの体にとって植物性タンパク質は大事な役割を果たします。
動物性タンパク質と比べて脂質が少ないので、摂取カロリーを抑えながらタンパク質を摂ることができます。
脂質の消化には時間がかかるため、筋肉をつくりたいという理由から肉ばかりを食べるとカロリーの摂りすぎに加えて、消化不良による胃もたれや睡眠の質の低下につながる恐れがあります。

日本人は古来から大豆やこれを加工した豆腐、納豆などの食品を摂取したり、精進料理の文化があったりと植物性タンパク質が中心の食生活でした。
しかし現代は欧米化が進み、肉を中心とした動物性タンパク質の摂取が割合を大きく占めています。
肉中心の生活は生活習慣病のリスクが上がるという報告もされています。SDGsの観点からも摂取は控えていきたいですよね。

昨今ではプラントベース表記の商品がスーパーやコンビニでも目立ってきました。
植物性タンパク質の重要性を再確認し、積極的に食生活に取り入れるよう意識を変えることが大切です。

肉食を減らすことは環境保護に繋がる

前項でSDGsについて触れました。
SDGsとは「持続可能な開発目標」として国連サミットで採択された取り組みです。

2030年までに貧困や飢餓、人権、教育、経済、環境保護など「誰一人も取り残さない社会」を築くために世界規模で取り組むべき目標を定めています。
テレビのニュースでも頻繁に話題になっていますよね。
植物性タンパク質の積極的な摂取は、私たちの健康以外にSDGsの目標の一つにある環境保護にも大きく影響しているのをご存知でしょうか?

まず、肉の生産には多くの時間と資源が必要です。
牛や豚などを育てるまではエサや水、育てる土地などがかかりますよね。
牛肉1kgを生産するまでに必要な穀物は約11kg、水資源は約20,000リットルかかります。

対して植物性タンパク質の代表である大豆は、育てるために穀物は使いません。
また、使う水の量も牛肉の8分の1で済みます。牛肉と比べて大豆の生産は環境の破壊を抑えることができるのです。

また、牛のゲップにはメタンガスが多く含まれています。
メタンガスは地球温暖化を早める原因物質の一つです。世界の人口が増加している中で、さらに肉の需要が増えると環境破壊が急速に加速してしまう恐れがあります。

大豆や大豆ミートなどの植物性タンパク質が日本でも広く扱われるようになった理由は、こうした背景もあります。
普段、何気なく選択している食べ物が、未来の私たちの生活に影響しているのです。

筋肉=の肉食は間違い!私たちが参考にできること

ベジタリアンアスリートの食生活から植物性タンパク質の重要性についてお伝えしました。
選手たちは筋肉づくり、そしてエネルギーを生み出すために様々な栄養素を組み合わせながら食事をしています。時にはサプリメントやプロテインも取り入れ、自分の体を管理しているのです。

強固な筋肉をつくるにはタンパク質の摂取が欠かせません。
しかし「筋肉をつける=肉を食べる」という発想が少しズレているのは、世界トップのベジタリアンアスリートを見ても明らかです。
ベジタリアンでも十分に筋肉をつけることはできます。
そしてベジタリアンではなくても植物性タンパク質の特徴を理解し、積極的に摂っていくべきです。

改めて自分の食生活を見直してみましょう。この記事を読んで、少しでもタンパク質摂取への意識が変わることを願っています。